雨犬
柳本史さんの版画と外間隆史さんの詩情溢れる文章。
版画に一目惚れして手に取るも
文章もシューベルトのようで素晴らしい。
捨てられてしまった老犬15歳と
その犬を拾った新しい飼い主との物語
犬は悲しみをちゃんと記憶している。
犬の切ない目が愛おしい。
我が家のワンコは保護犬なので、
雨の日に捨てられるシーンは、なんとも言えない気持ちになって
泣いてしまった。
すぐに、新しい飼い主に拾われてホッとする。
ほのかに温められたミルク・・
休日にシューベルトのピアノソナタ13番を聴き
涙したあと「笑顔って特別な現象だね」という飼い主と
音楽は笑顔に似ていると思う雨犬。
(シューベルトの音楽を深く理解しているような光景だ)
珈琲の匂いと詩の朗読・・日課のお散歩
雨犬の悲しい記憶の雨の日は、やがて・・
温かさを持った飼い主も また悲しみを持った人なのだろう。
悲しい出来事のあとの穏やかな時間の流れ。
幸せとは、心がほっこり温かくなるもので、
日常にあふれている。
切なく・・ほっこり・・
読み終えたあと 温かな気持ちになれる本だった。