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綿帽子 第三十七話

公会堂に向かって歩く日々が続く。

もはや到着して10分もすれば町人さん達がお出迎えに来るようになっていた。

視界には入るが気にせず参拝する。
無数の光る目に見られながら、掃除の日々を繰り返す。

流石にこの頃になると、何やら毎日親子で掃除をしに来る人がいる。

「一体何処の人だろう?」と噂になっていたようだ、道行く人に話しかけられるようになっていた。

また、公会堂を管理している人達には「掃除をしてくれてありがとう」と、お礼を言われるようにもなった。

しかし、お礼は言われるが手伝ってはくれないのだ。

芽生える矛盾を尻目にひたすら掃除をする。
向こうからしたら変わった人がいるなぐらいにしか思ってはいないのだろう。

確かにこちらが勝手に始めたことなのだから手伝う必要はない。

しかし、車の掃除をする為公会堂の敷地に車を持ち込み、汚れをその場に落としたまま去って行く。

そんな人を見ていると「きっと小人もそれを見ているんだろうな、小人の方が案外凄い存在なのではないか?」とも思えてくる。

そして

「え?今目の前で掃いてるやん」

と、竹箒を小脇に抱えた俺は何だか切なくなったりもする。

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