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綿帽子 第三十九話

あれから、仕掛けを覗きに毎日用水路に来ている。

特に変わった変化は見られない、一箇所だけザリガニが入っている。
場所は移動させている様子で、やはり何かを捕らえようとはしている。

お袋曰く

「鰻ちゃうか、この辺昔は鰻を取ってたらしいで」

そんな馬鹿な、田んぼの用水路に鰻とは現実離れしている。
お袋も奇妙なことを言うなと思ったが、念の為ネットで調べてみた。

「田鰻」

何だこれ?

なるほど、確かに沼や田んぼの水路、そして田んぼそのものに生息するらしい。

しかし田鰻と名は付くものの、その身は鰻よりかなり赤黒く、臭いもきつくて味自体も鰻からは程遠いようだ。

全く別の生き物と捉えた方が良いのかもしれない。

その割には中国や台湾では好んで食べられている。

見かけはどちらかというとドジョウが滑りをまとったまま限りなくシェイプを蛇化させたとでも言いましょうか。

シェイプがシャープになったドジョウの尾鰭が無くなった版とでも言いましょうか、とにかく俺には食べられそうにない。

そして、まんざらお袋の言うことも嘘ではなさそうだ。

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