腰痛・坐骨神経痛の「気づけない原因に気づく」ということ
問題というのは大抵、それが解決可能か不可能かの瀬戸際になってはじめて顕在化します。
1の努力で解決できたはずが、ある分岐点を超えた途端、10の努力でも解決できなくなる、なんて病も多いです。
腰痛にしても、坐骨神経痛にしても
「ある日突然、痛くなった」と仰る方はいますが、客観的にそうであると思われることは基本的にありません。
はなしを細かく聞けば聞くほど「痛みの歴史」がみえてきて、痛みは「歴史の結果」であることがみえてきます。
昔から何らかの因子があり、因子同士が複雑に絡み合い、その延長上にいまの腰痛や坐骨神経痛が生じている
そう解釈する方が「ある日突然」よりも妥当であり、課題もクリアになり、結果的に改善しやすいです。
“重いモノを持った時に腰を痛めた”
たしかにそうかもしれません。が、どちらかというとそれは“最後のひと押し”に過ぎず、瑣末なことであり、フォーカスしても仕方ない(問題解決に結びつかない)かもしれません。
本人すら「もう無理だ」諦めかけていた壮絶な症状をともに乗り越えてきた経験から
これらの事例の解決の糸口となった
腰痛・坐骨神経痛の「気づけない原因に気づく」ということについてお伝えします。
まず、腰痛を抱える方にとって
痛みやしびれは“癖による結果”です。
このような因果関係として捉えることが、腰痛を抱える方にとっての最大公約数的なひとつの答えであり、解決への糸口になり得ます。
順を追って説明します。
癖とは次の4つです。
これらの癖から発生する、筋骨格・血管・神経への持続的な負荷が痛みを誘発する
と考えることで、改善に必要な課題と進むべき方向が明確になります。
そもそもヒトには「つねに一定の状態を保とうとする機能(=恒常性)」が備わっているため、形や性質が「ある日突然」変わる/変えられるという考え方自体ナンセンスです。
人間は総てにおいて良くも悪くも“形状記憶”であり、変化には非常に細かな“グラデーション”があります。「世界一受けたい授業」でやっていた「アハ体験」のような。
ビフォー/アフターだけ見れば誰にでもわかる明瞭な変化でも、その過程で起きているじわじわとしたグラデーション様の変化には中々気づけません。
第三者視点で(写真や動画や他者から指摘で)経時的に比較するなどしてよほど注意を向けていない限り、自分の漸進的な変化に気づくことは難しいのです。久々に会った人から「瘦せたね」といわれ、はじめて体形の変化に気づくように。
ようするに何が言いたいかというと、
腰痛や坐骨神経痛の原因(となり得る癖から発生する筋骨格・血管・神経への持続的負荷)は、そもそも自分では中々気づけないということです。
例えば「猫背」
猫背になれば、体重の10%もの重さがある「頭」が、背骨や背中の筋肉・血管・神経への持続的で物理的な負荷となります。がその負荷に気づける人はあまりいません。自分にとっては「昨日からの連続にいる“なにも変わらない”自分」で、負荷も姿勢の変化も(あるけれど)感じないのです。
猫背でない人がわざと猫背にした時に覚える“違和感”もだんだんなくなっていき、むしろ姿勢良くしようとすることに居心地の悪さを感じるようになります。これは、長らく猫背でいたことで“猫背が基準”であると“恒常性”が書き換えられているからです。
それでも「頭」の重さは背骨や背中の筋肉・血管・神経への負荷になっています。負荷が生じていることと負荷を感じないことは別の話です。いわば無自覚のうちに、背中の筋肉が“ずっと筋トレ状態”になっている―この状態こそが“気づけない原因”です。問題を解決するにはこういった“バケツの穴”に気づき、穴を塞ぐことが重要です。でないとイタチごっこになってしまいます。
腰痛も坐骨神経痛も改善に必要なのは、①②を“同時に”行うことです。
しかし多くの治療院において、対症療法(痛いところのもみほぐし)に終始するアプローチが展開され、ある意味当然の帰結として「再発と悪化」が繰り返されてしまっています。
“治る”の定義、または目標を【腰痛や坐骨神経痛を自分でコントロールできるようになること】とするならば、塞ぐべき穴は「癖」です。
結果を左右するのは【癖の矯正ができているかどうか】【癖の矯正を目的としたアプローチが行われているかどうか】となります。痛い所を揉んでいるか/注射を打っているか/メスを入れているか、ではありません。
被術者の戦略としては、まずは痛みを抑えることで“余裕”をつくったら【痛みの元を減らすフェーズ=癖の矯正】へ移行することがとても重要であり、それを可能とする治療を“選ぶ”ことも同程度に重要です。
また、そもそもの発想として、痛みやしびれは一朝一夕のものではなく、“無自覚のうちに”自分で自分のカラダに負荷をかけ続けていたのではないか?
何年・何件通っても手術をしてもダメで万策尽きたように思えるけれど、じつはまだ“気づけていない原因”があるのではないか?
と考えることも改善への糸口になり得ます。
※余談ですが癖の矯正を目的としたアプローチの多くは結果的に患部「以外」へのアプローチになります。
腰痛のアプローチで「腰」に触れることは(評価としてを含めても)1〜2割程度です。なのでお越しの方はみなさん驚かれます笑
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