城
さて、続いてはフランツ・カフカの「城」。
今、気づいたけどカフカがこれを書いたのは1922年…ちょうど100年前!
カフカ最後の長篇小説。厳密には未完で、他の人が生前のカフカから聴いていた話などをもとに再構成して死後に出版された。
けっこう長い話だったけど、あまりピンと来なくて、解説を3回よんで…背景にあるもの(カフカの生涯や、主に職業的アイデンティティについて)と共に味わってみようと思ったけれど、それでもなんだか感想が書けない。ずいぶんと奇妙な話でした。
Kは落ちぶれて成り下がって(というより元々、何者でもなかったようだけど)最後に下働きの女中たちと春まで一緒に暮らそうって声をかけられるんだけど、このへんはほとんどが冬で、しかも春と夏は2〜3日で終わってしかも雪が降ることがあるとか…。
そこに宿のおかみが来て「なんであんときウチの服をけなしたんや」って言ってきて(まだ根にもってたんかいな…)春やらの話はどっかいってしもた。そんな話の繰り返しです。
まぁとにかく登場人物の1回のセリフが長い長い。映画なら大変(案の定、映画版は最大限にいろいろ短くしてあったらしい)。
城にたどりつけなかったKのごとく、僕もまた(僕の姓もKからはじまる)城にたどりつけなかったのでした。
気になる方はWikipediaで「城(小説)」もなかなかおもしろいので、ぜひチェックしてみてください。
ところでカズオ・イシグロの「充たされざる者」と雰囲気がかなり似ていたけれど(カフカを意識して書いた?)イシグロさんのはけっこう気に入ったんだよなぁ。
【あらすじ(新潮社のWebより)】
測量師のKは深い雪の中に横たわる村に到着するが、仕事を依頼された城の伯爵家からは何の連絡もない。村での生活が始まると、村長に翻弄されたり、正体不明の助手をつけられたり、はては宿屋の酒場で働く女性と同棲する羽目に陥る。しかし、神秘的な“城”は外来者Kに対して永遠にその門を開こうとしない……。職業が人間の唯一の存在形式となった現代人の疎外された姿を抉り出す。