聖地100年への思い、イチローさんの格言を添えて。夏の甲子園開幕。智弁和歌山の辻主将が高らかに選手宣誓。「この先100年も、甲子園が憧れの地であり続けること」
高校球児のメッセージは力強かった。夏の甲子園が開幕。選手宣誓では今年開場100年を迎えた甲子園球場への切なる思いがぎっしりと詰まっていた。そして、聖地はさらに100年、球児たちの憧れの地であり続けるようにとの願いも込められていた。青春の最終目的地は甲子園。その思いを高らかに宣言した。球児たちの願いが今後も叶い続けますように。
選手宣誓を務めたのは智弁和歌山の辻旭陽主将だ。夏の甲子園に26度出場し、3度全国制覇を成し遂げた名門校も、選手宣誓を行うのは初めて。どんなメッセージを伝えるのか楽しみだった。
そして辻主将の宣誓は、これまでの高校球児たちの思いを凝縮したものだった。甲子園が開場100年となることを踏まえ、「全国の球児が、ここでプレーすることを夢見てきました」と甲子園が聖地であり続けたことを伝えた。
そして高校球児の夢も語る。「この先の100年も、ここ甲子園が僕たち球児の憧れの地であり続けることです」。未来の球児たちも、この地に立つことを夢見て努力し続けるはずだと訴えている。
そしてプロ野球のレジェンド、イチローさんの格言も宣誓に盛り込んだ。「努力したとしても、報われるとは限らない。しかし、努力しなければ報われることはない」
イチローさんも高校2年の夏に愛工大名電の選手として、甲子園の舞台で活躍した。勝利を挙げられなかったことを踏まえれば、努力しても報われなかった。しかし努力したからこそ、憧れの地でプレーできた。
智弁和歌山は2020年にイチローさんから指導を受けている。そして、イチローさんからの言葉を糧に、翌年の夏の甲子園で全国制覇を達成した。
高校の先輩がレジェンドから聞いた格言を、選手宣誓に盛り込み、憧れの地に立つ球児たち、そして未来の高校球児たちと思いを共有した。
今年から夏の甲子園は試合を午前と夕方に分ける「2部制」を試行している。すべては選手たちが憧れの甲子園で、全力プレーをしやすい環境にするために。
昨年からは延長十回からタイブレーク方式を導入するなど、試合形式は変わり続けている。その根底には、選手たちが憧れの地、甲子園でプレーし続けられることを念頭に置いているはずだ。
夕方から試合を行うことにより、今年の開幕日の最終試合のゲームセットが21時36分と史上2番目に遅い時間となった。2部制にも改革の余地はある。その先には7イニング制の導入も不可避となるだろう。
それでも、選手たちの憧れの地、甲子園で試合を行うことは、これから100年先も変わらずにいてほしい。「選手ファースト」の点で考えれば、甲子園での開催は大前提となるはずだ。
「この先の100年も、ここ甲子園が、聖地であり続けること」。智弁和歌山の辻主将が高校球児を代表して訴えた願い。これからも叶い続けますように。
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