1点の重みを知っている巨人は強い。「伏兵」中山選手が値千金のソロ本塁打。先発山崎投手が七回途中まで好投。大ピンチで門脇選手が好守。３勝３敗のタイに持ち込んだ

１点の重みを知っている巨人は強い。クライマックスシリーズ（CS）最終ステージ。巨人は貧打に苦しんでいる。「伏兵」中山礼都選手が放った一発をチーム一丸で守り抜いた。先発の山崎伊織投手が七回途中まで好投した。大ピンチの場面ではショートの門脇誠選手が好守で防いだ。３連敗の土壇場からタイに持ち込んだ。シリーズ最終戦へ勢いに乗っている。

20日に東京ドームで行われた最終ステージ第5戦。ＤｅＮＡが3勝と日本シリーズ進出へ王手をかけている。対する巨人は前日に勝利して2勝（セリーグ優勝のアドバンテージ1勝を含む）。巨人は土俵際での戦いが続いている。

最終ステージで巨人は4試合で計6得点。1試合平均1.5点と貧打にあえいでいる。前日は4点を奪ったもののタイムリーヒットはゼロ。それだけに1点の重みを痛いほど知っている。

先発マウンドに上がった伊織投手にとって、相手に先取点を与えてはならない。相手打者の内角を激しく突き、攻めのピッチングを貫いた。

先発投手がゲームを作っていけば、リズムが生まれる。そこで値千金の一発が巨人に生まれた。五回の攻撃。この回先頭の中山選手がライトスタンドでアーチをかけた。

プロ4年目。この最終ステージで二塁手として先発しているが、本来のレギュラー選手がケガのために中山選手に出番が回ってきた。第4戦まではヒットわずかに1本。打率0割8分3厘だった。

これまでレギュラーシーズンで本塁打を放ったことはない。「伏兵」が大一番で先制アーチを放った。チームが勢いに乗るのにふさわしい活躍だ。

七回に伊織投手が1死後に三塁打を浴びてマウンドを下りる。大ピンチだ。次打者はショートへの強い当たり。これを門脇選手が好捕。ホームへ送球して、三塁走者をタッチアウトにして難を逃れた。

門脇選手は「投手を助けたい一心で守り続けている」と語った。その思いが堅守につながっているのだ。

1－0のまま、リリーフ陣がこらえ抜き、「虎の子」の1点を守り抜いた。巨人が3勝目を挙げて、このシリーズを3勝3敗のタイに持ち込んだ。

2012年を思い出す。このシーズンのCSも巨人がセリーグ優勝を果たした。最終ステージからの出場となったが、3連敗を喫して土壇場に追い込まれた。そこから怒涛の3連勝。アドバンテージの1勝を含めて逆転で日本シリーズ進出を決めた。

今年の巨人も3連敗後に、2連勝して最終ステージの最終戦へと持ち込んだ。この日のヒット数は中山選手の本塁打を含めてわずか3本。相手の7本を下回っている。それだけに1点の重みを知っている。だからこそ、先取点を奪ったら、きっちり守り抜く姿勢が強い。

最終戦は21日に行われる。巨人にとってはロースコアに持ち込みたいところだ。巨人が3連敗後の3連勝を成し遂げるのか。リーグ3位のＤｅＮＡに「下剋上」を許すのか。大一番が楽しみだ。