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「開拓者」大谷選手が指名打者で初のMVP。打って走れる「二刀流」がDHのイメージを覆した。アメフトの司令塔を彷彿させるプレーが米国人のハートもつかむ

メジャーリーガー・大谷翔平選手は「開拓者」だ。ドジャースに移籍した今季はケガの影響もあり指名打者(DH)に専念。ピッチングを封印した形だが、楽をしたのではない。新たな領域を広げたのだ。それが「打って走れる」DH。これまでの走れないDHのイメージを覆した。3度目となるMVPに輝いたのも当然。米国人は「開拓者魂」を好むからだ。

21日(日本時間22日)にナリーグMVPが発表された。大谷選手は満票で受賞。アリーグ時代にも2度獲得しており、今季の受賞で史上2人目となる両リーグでの受賞者となった。

今季は右ひじをリハビリ中のため、投手としての出場を回避。バッティングに専念するDHとして、159試合でプレーした。そして今季、54本塁打、59盗塁をマーク。史上初の1シーズン中の「50本塁打、50盗塁」を達成したのだ。

大谷選手はこれまでのDHのイメージを覆した。打撃に専念する指名打者は、巨漢で走るのが遅い。だから本塁打や打点は多く挙げても、盗塁数はひとケタ。そもそも盗塁のサインすら出ない。このような固定観念を振り払って「打って、走れるDH」の姿を披露したのだ。

米国人は新たな領域を広げるのを好む。それは歴史的にも「西へ、西へ」と開拓していった歴史があるからだろう。

それは、米国でアメリカンフットボールが人気であることと関係すると思われる。パスの出し手であるクォーターバック(QB)は司令塔的な存在だ。長いパスを投げて、どんどんチームを前進させていく。前へ前へと進んでいく開拓者のようなイメージがある。

そして21世紀以降、QBはパスの出し手としてだけでなく、ランニングバックのプレーヤーのように自らボールをもって突破する姿が目立つようになった。「モバイル・クォーターバック」の出現だ。QBの投げるイメージを振り払って、新たな領域へと広げていく。

過去にはアトランタ・ファルコンズのマイケル・ビックさんがパスを投げ、自ら積極的に走る「二刀流」を極めた。現在でも、ボルティモア・レーベンズのラマー・ジャクソン選手が投げても走っても一流のスーパースターだ。

そして野球の世界では、大谷選手が投手としても打者としても活躍する「二刀流」プレーヤーとしてメジャーで活躍した。今季は「打って、走る」DHとして、領域を広げている。

大谷選手の「開拓者魂」が米国人の心をつかむのは当然だろう。開拓することこそ、米国人の歴史であり、さらなる夢でもあるのだから。

大谷選手は優れたプレーを見せただけではない。アメリカ社会が望む「開拓の精神」を体現しているのだ。だから文句なしのMVP受賞だと思う。

大谷選手、おめでとう!これからも開拓者魂で、野球界に新たな領域を広げていってほしい。

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