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「絶対女王」は強さが出せないならうまさで勝つ。早田ひな選手が全日本卓球選手権3連覇。昨年の五輪で痛めた左腕。コース、タイミングを熟慮。急成長の張本選手に完勝

卓球の早田ひな選手は「絶対女王」だ。全日本卓球選手権で3連覇を達成した。今年の勝ち方はこれまでとちょっと違った。強さを前面に出すのでなく、うまさで勝負したのだ。昨年のパリ五輪で痛めた左腕。今も完治していない中で、コースやタイミングを熟慮してショットを放つ。24歳にして円熟味を増したプレー。まさに「絶対女王」と呼ぶにふさわしい。

東京体育館で行われた全日本卓球。早田選手の決勝の相手は張本美和選手だ。昨年と同じカード。ともにパリ五輪を戦った。16歳と成長著しい張本選手とどう向き合うか。

早田選手はパリ五輪の個人で銅メダル、女子団体で銀メダルを手にした。ただ五輪期間中の激闘で利き腕の左腕を負傷。半年たっても完治していない。

けがを抱えながら3連覇をめざす。これまでは強さを武器に戦った。しかし、この状況で無理をし続ければ、左腕が悲鳴を上げる。

コースやタイミングを深く考える。手首に負担のかかるショットを多用するわけにはいかないからだ。どこが勝負ポイントか。早田選手の脳はフル回転だ。

勢いに乗って決勝に勝ち上がってきた張本選手を相手に4-0とストレートで下した。第1ゲームでは9連続ポイントを挙げるなど11-3。第3ゲームでは13-11と競った展開をものにした。

張本選手にとってはショックだったはずだ。昨年の決勝は強い早田選手にストレート負け。リベンジを狙ったが、今回は早田選手のうまさに敗れたわけだから。早田選手の「引き出しの多さ」を痛感したかもしれない。

優勝を決めた直後に、早田選手は両腕を挙げてハートマークを作った。かわいらしい優勝パフォーマンスを即座に表現できるところに、勝ち慣れてきたことを感じる。

1日の練習時間は3時間半。けがをする前よりも1~2時間減っている。その状況で強さにこだわれば、自滅するだろう。頭脳を駆使したうまさも武器に、早田選手は試合に勝っていく。

それはプレーだけではない。早田選手は「私生活から、本当にいろんなところも細かい調整や配慮は昔よりもうまくなった」と語っている。

5月にはカタールで世界選手権が行われる。個人戦の目標として「前回(2023年)の銅メダルよりも上に行きたい」と宣言した。

強さとうまさを使い分ければ、絶対女王の目標は達成できそうな気がする。さらなる進化を遂げる早田選手に注目だ。

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