FAの掘り出し物?中日・木下捕手の行き先は?獲得に名乗りを挙げる球団ゼロ。FA宣言実らず残留の可能性も。他球団ならば、そのまま見放される場合も。ベストの決断を!
FA宣言中のあるキャッチャーに注目している。中日の木下拓哉選手だ。プロ9年目の32歳。「FAの掘り出し物」と期待されているが、今のところ、獲得に名乗りを挙げる球団はゼロ。FA宣言したものの、中日に残留する可能性が高くなってきた。他球団ならば、そのまま見捨てられることもある。木下選手はどう決断するのか。
木下選手を熱く押している人がいる。西武やロッテで監督を歴任した伊東勤さんだ。「掘り出し物」と評した上で、自分が監督だったら使える自信があると熱く語る。「素質のあるキャッチャーですから」と太鼓判を押すほどだ。
伊東さんは2019年から3年間、中日でコーチをしている。実際に近場で木下選手を見ているだけに、能力の高さを買っているのだ。
伊東さんがコーチをしていた3年間で、木下選手は急成長した。2019年に39試合に出場。それが翌年は88試合、2021年には123試合と自己最多の出場数だった。
2020年にはセリーグトップの盗塁阻止率4割5分5厘をマーク。2021年には打率2割7分、11本塁打と自己最高の成績を残した。「打って守れる捕手」。伊東さんの記憶に鮮明に残っているのも当然だろう。
ただ近年はケガが重なり出場数が減ってきていた。今季は74試合の出場にとどまり、盗塁阻止率は1割5分6厘と悪化している。5月末までに19個の盗塁を許して、スポーツ紙に「(盗塁したら)フリーパス」と書かれたこともある。
今季は宇佐美真吾選手(31)、加藤匠馬選手(32)との併用が続いた。さらに今年のドラフトで、中日は社会人の日本生命から石伊雄太選手を4位で指名した。強肩強打と評されるルーキーが加入すれば、さらにポジション争いは激化するのは必至だ。
今季は大物捕手のFAが多いと見られていた。ソフトバンクの甲斐拓也選手(32)がFA宣言して、巨人が獲得に前向きだ。一方で、巨人の大城卓三選手(31)、阪神の坂本誠志郎選手(30)はFA宣言することなく残留を決めた。
捕手のFA宣言が相次げば、各チームのシャッフルも起こりやすかったが、甲斐選手と木下選手だけとなると、状況は厳しくなってきた。
中日からはFA宣言しても残留が認められており、複数年契約を提示されているようだ。他の球団では、FA宣言した選手とは「即さよなら」としているところもある。
木下選手はFA宣言した際は「最初で最後の権利。球団にも誠意を感じている。他球団の評価を含めて時間をかけて考えたい」と語っていた。
ただ20日現在、獲得に名乗りを挙げる球団がなく、「どこかで区切りをつけようという気持ちがあります」と決断の時期が近いことをうかがわせる。
木下選手にとって、ベストの決断をしてほしい。そして来季は新たな気持ちでスタジアムに姿を現してほしいと願っている。