あの夏からつながったノーヒットノーラン。巨人・戸郷投手が偉業。2つの甲子園。高校球児時代に逃した快挙。プロ6年目の伝統の一戦で実現
あの夏からつながった大記録。巨人のプロ6年目、戸郷翔征投手(24)がノーヒットノーランを達成した。2つの甲子園。高校時代の聖地では快挙を逃したが、7年後、プロ選手として同じ舞台で実現した。世界一メンバーや今季の開幕投手など成長を遂げた先にあった大記録だった。
24日に甲子園で行われた阪神との「伝統の一戦」。巨人は先発マウンドに戸郷投手を送った。今季、プロ6年目で開幕投手を務めた右腕。今季9試合目の登板だ。
初回、阪神打線を3つのセンターフライに打ち取って上々の立ち上がり。相手のバットに快音を響かせず、スコアボードに「0」を並べていった。
味方打線は五回に泉口友汰選手のタイムリーヒットで1点を先制してくれた。このリードを戸郷投手が守っていく。
八回を終えて、許した走者は守備のエラーによる2人だけ。九回に先頭打者に四球を許したが、後続を抑えていく。そしてツーアウト。2番中野拓夢選手を外角へのフォークで空振り三振を奪ってゲームセット。ノーヒットノーランを達成した。
偉業を達成した戸郷投手は満面の笑みを浮かべて、グラブをポンと叩き、右腕を振った。マウンド付近には巨人の歓喜の輪が広がった。
123球を投げて、5奪三振。四球は最終回に与えた一つのみ。そして被安打ゼロ。甲子園を舞台にした「伝統の一戦」で快挙を成し遂げた。
あの夏からつながった瞬間だった。戸郷投手は宮崎の聖心ウルスラ高2年生の夏に甲子園に出場している。聖地での初戦の相手は早稲田佐賀だった。
初回に四球を与えたものの後続を打ち取って、無失点に抑えると波に乗った。スイスイ投げ続けて、ノーヒットピッチング。味方打線は5点を奪って、戸郷投手を援護してくれた。
しかし五回。1死を取った後、相手の8番打者に内野安打を許して、ノーヒット投球は幕を閉じた。七回には4連打を浴びるなど2点を返された。前半のリードを守って、初戦をものにしたが、戸郷投手はこの試合8安打を浴びることとなった。
チームの甲子園初勝利となった試合。ただ戸郷投手にとっては前半の好投とは真逆となる後半の打たれようだった。
2018年のドラフトで巨人に6位指名されて入団した戸郷投手。2022年に最多奪三振のタイトルを手にした。昨年は侍ジャパンの一員として、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の世界一に貢献。そして今季は自身初の開幕投手を務めた。
順調に成長を遂げて、甲子園での「伝統の一戦」で偉業を打ち立てた。高校球児として無安打無得点を逃した甲子園。そしてプロ6年目に「チームの顔」として投げた甲子園。ノーヒットノーランをめざしたピッチャーが同じ球場で時を越えてつながった。
おめでとう、戸郷投手。高校時代の自分に「甲子園でノーヒットノーランを達成できる」と伝えられるね。チームの顔となった戸郷投手の成長物語が大記録に刻まれている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?