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どの道を選んでも人生に間違いはない。メジャーに向かわず、巨人に残留した菅野投手。プロ12年目で1500奪三振達成。ヤクルトの主砲村上選手から奪い「思い出に残る」

どの道を選んでも人生に間違いはない。そう思わせてくれる試合だった。メジャー挑戦か国内残留かで悩んだ時期もある巨人の菅野智之投手(34)。選んだ選択肢は、米国に向かわず、巨人残留。そして12年目の今季、1500奪三振をマークした。対戦相手は「日本の主砲」ともいえるヤクルトの村上宗隆選手(24)。記録にも記憶にも残る名勝負となった。

11日に神宮球場で行われた「東京ダービー」。巨人の先発には菅野投手が上がった。そして六回裏にヤクルトの村上選手と相対した。

記録のかかった者同士の対決。菅野投手は1499個の三振を奪っていた。そして村上選手は199本の本塁打を放っている。両者にとって大記録まで「あと1」と迫っていたのだ。

巨人投手陣の柱ともいえる右腕と、「日本の主砲」ともいえる左打者。この対戦で大記録が生まれれば感慨もひとしおだろう。

2死走者なし。カウント2-2。ここから2人の勝負がヒートアップしていく。菅野投手は、ここからストレート、フォーク、カーブを投げ分けていくが、村上選手はいずれもファールで粘る。

そして8球目。菅野投手は内角低めにストンと落ちるスライダーを投げた。村上選手のバットは空転。菅野投手が通算1500奪三振を奪った瞬間だ。ガッツポーズをした後、グラブをポンと叩いた。

菅野投手は7回途中まで2失点と好投。この大記録に加えて、今季4勝目も手にした。首位を走っていた阪神が敗れたため、巨人が0.5ゲーム差を逆転して首位に浮上した。

大記録について、菅野投手は「村上選手から三振を取れて、思い出に残る三振となった」と振り返る。記録にも記憶にも残る名勝負だった。

菅野投手にはメジャーに挑戦するか、巨人に留まるか悩んだ時期がある。世界に猛威を振るった伝染病などもあり、選んだ選択肢は国内残留だった。

メジャーに挑戦すれば成功するにしても駄目だったにしても良い経験となっただろう。しかし国内に残り、この日の名勝負を生んだ。いずれの選択肢を選んでも、人生において間違いはないと教えてくれたのだ。

人生の岐路に立つ人は多いはず。切り捨てた選択肢を顧みることがあるかもしれない。それでも、どの道を選ぼうと間違いだったというものは、きっとないはずだ。

自分の選んだ選択肢を、自信をもって貫けばいい。詩人で戯曲家でもあった寺山修司さんは「振り向くな、振り向くな、後ろには夢がない」と作品に残している。

どの選択肢を選んでも、前だけを向いて進んでいけばいい。菅野投手も巨人に残って、前を向いて投げ続けてきた。それが記録にも記憶にも残る名勝負につながった。

人生に悩む人たちへ。自分の思う道を選べばいい。どの選択肢にもきっと間違いはないのだから。

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