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大切な人はもういない。それでも前を向いて進んでいく。サッカーJ1。柏レイソルが新体制発表。チームの苦楽を共にした司令塔のサヴィオ選手は浦和へ移籍
大切な人はもういない。それでも悲しんでばかりいられない。前を向いて進んでいく。サッカーJ1の柏レイソルが新体制を発表。そこに司令塔のマテウス・サヴィオ選手(27)の姿はない。チームの苦楽をともにしてきた仲間であり、キーパーソン。意気消沈したくなる。それでも前へ。監督が変わる。ユニホームが斬新に。新たなスタイルでレイソルは行く。
昨季のふがいない成績から、レイソルは巻き返しを図ろうとしている。昨季のJ1でレイソルは17位。20チーム中、下位3チームがJ2へ自動降格するシステムで、あわやJ1から滑り落ちそうになった。
最終節でなんとかJ1残留を決めたが、薄氷を踏み続けるようなシーズンだった。危機を救ったのが司令塔のサヴィオ選手だった。
全38試合に出場。出場した時間は3350時間。リーグ8位タイとなる7アシスト。自らも9得点を奪った。そして今季のJリーグのベストイレブンに選ばれた。6年目にして初の栄光だ。
サヴィオ選手はブラジル出身。CRフラメンゴに所属していたが、2019年に期間限定でレイソルに移籍した。当時の柏はJ2でもがいていた。サヴィオ選手は7得点でチームのJ2優勝に貢献した。シーズンオフにレイソルへの完全移籍が決まった。
2020年にJ1に復帰したレイソル。サヴィオ選手はチームとともに酸いも甘いも噛み分けてきた。柔らかいボールタッチ。絶妙な場所へと送り出すパス。サヴィオ選手がいたからこそ、チームのJ1残留争いを潜り抜けてきたのだ。
2023年8月に私は柏スタジアムで広島戦を観戦した。ナイトゲームとはいえ、蒸し暑さが残る中での試合だった。
そんな中でもサヴィオ選手は躍動していた。試合開始早々に、左サイドバックのジエゴ選手とのホットラインでチャンスを生み出していた。ゴール前へのフリーキックでは、ジエゴ選手は右サイドに位置して、絶妙のパスに飛び込みゴールを狙った。
同じブラジル出身だけに息があったのだろう。その試合は0-0のドローだったが、2人のホットラインがどんなチャンスを作るのか興味深く見た記憶がある。
今季、レイソルは辛うじてJ1に踏みとどまった。しかしシーズン後、「激震」が走る。サヴィオ選手が浦和レッズへ移籍したのだ。チームのキーパーソンがチームを去る。ジエゴ選手だけでなく、多くの選手、ファンが嘆いているだろう。
レッズ選手のユニホーム売り上げで、サヴィオ選手は3位にランクされている。それだけレッズサポーターの期待感が高い証だ。そして、レイソルにとっては失ったものの大きさともいえる。
しかし嘆いてはいられない。レイソルは新監督にリカルド・ロドリゲスさんを迎えた。3年前まで日本で指揮を取っており、徳島のJ2優勝、浦和の天皇杯優勝へと導いた名将だ。レイソル復活へ重要な人物の獲得に成功した。
そしてユニホームはヨネックス社製の斬新なデザインとなった。組織をチェンジするには、外見を変えることも重要だ。
チームの苦楽をともにした司令塔が去ったのはつらい。それでもレイソルは前を向く。今季の復活劇を楽しみにしたい。