期待値の低かった人の成長は組織全体を活性化させる。日本ハムのプロ3年目北山投手がプロ初完投初完封勝利。ドラフト8位からの凄まじい成長曲線
期待値の低かった人が成長すれば、組織全体が活性化する。日本ハムのプロ3年目、北山亘基投手(25)がプロ初完投初完封勝利を挙げた。ドラフト8位で入団してから、凄まじい成長曲線を描いている。この日の勝利で、日本ハムは2位に浮上した。北山投手の成長がチームの好調へと導いている。「ドラ8」の3年目。北山投手の活躍に注目だ。
20日にホームの北海道で行われたロッテ戦。先発には今季3試合目の登板となる北山投手が送り込まれた。
北山投手は初回に先頭打者にヒットを許し走者を抱えた。2死を取った後に走者が二盗したためピンチとなる。それでも北山投手は慌てない。4番打者を空振り三振に斬って取り、初回を無失点で切り抜けた。
直後の攻撃で味方打線が1点を奪って、北山投手を援護してくれた。これでさらなる勢いにつながった。ここからは両者無得点。ヒリヒリする投手戦となった。
北山投手は八回まで106球を投げ、被安打4、四球1、死球1と安定した投球。しかも初回にこの日最速の154キロの直球で押し込む一方、終盤の七回には140キロ台後半に落としてスタミナを温存する頭脳的な投球を繰り広げていた。
ニックネームは「教授」。普段から読書に親しみ、一昨年のオフには座禅修行を行うなど、自らを高めることに余念がない。頭脳的な投球も普段からの鍛錬から生まれているのだろう。
北山投手のプロ最長イニングは昨季2度あった7回。この日、最長イニングを更新。100球以上投げているので、最終回は救援陣に任せてもおかしくない展開だった。しかし新庄剛志監督は、このまま北山投手を最終回のマウンドに送った。
最後まで投げ切れば、北山投手のさらなる自信につながると考えたのではないか。その期待に応えて、北山投手は最終回を三者凡退に抑えて、プロ初完投初完封勝利を手にした。
北山投手は2021年のドラフト会議で日本ハムから8位指名を受けた。支配下では全体の最後から2番目となる76番目の指名だった。期待値の低い存在だった。
北山投手自身、「プロに入らせていただくにあたって、2年目が終わる段階くらいには、1、2試合1軍で登板したいな」という思いだったそうだ。自他ともに期待値は低かった。
しかし、2022年に就任した新庄監督は、開幕投手にルーキーの北山投手を指名。開幕の先発起用以後は救援陣の一角としてマウンドに送った。この年の北山投手の登板数は55試合。場数を踏ませることが狙いではなかったのだろうか。
2年目からは先発に転向し14試合に登板し6勝を挙げた。そして今季、先発のローテーションに入った。今季3試合で2勝、負けなし。防御率は1.71とパリーグの防御率6位に入っている。
この日の勝利で日本ハムは9勝7敗1分けとしてリーグ2位に浮上した。15試合以上を消化しての2位以上は2019年8月10日以来5年ぶりとなる。
期待値の低い人の成長は、組織全体を活性化させる。北山投手がこれからも成長すれば、日本ハムの6年ぶりとなるAクラス入りも現実味を帯びてくる。日本ハム、そして北山投手の活躍に注目だ。