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記事一覧
短歌人2022年12月号
6首掲載されました。平穏な日常を取りもどすために、何とか日々を過ごしています。今後ともよろしくお願いいたします。
「風のメロディ」卓上噴水 短歌人2015年10月号
卓上噴水に掲載していただいた連作です。
「風のメロディ」
せせらぎの流れ等々力渓谷にシュポンと響くラムネの硝子
たくさんの浴衣の群れとすれ違う水族館のような交差点
悠久の宇宙の流れの一瞬を望遠鏡で捉える奇跡
ことばでは伝えられないものがありプラネタリウムに映る七夕
蝶々が音なく集う真夜中の街の外れの灯りの下に
芦ノ湖の風のメロディ聞きたくて遊覧船のデッキにのぼる
夕焼けのグラデーションを切り裂い
短歌人2015年9月号
2015年9月の月例作品です。
雨粒はマシンガンにて折りたたみ傘は防御の役目果たせず
砂浜で日が落ちるのを眺めてるあるじをなくした麦わら帽子
クラッカー片手に持って部屋中の明かりを消して待つ
ひそやかに珈琲と文庫二冊を友としてひとりで過ごす金曜の夜
しなる手でダーツを投げてわが目指す世界の地図の一点を刺す
新月の夜の気配が染みこみて肌感覚が鋭敏になる
ご感想などありましたらお寄せいただけると嬉
「ラムネの硝子」短歌人2015年8月号
20代・30代競詠に出した連作です。
この特集への参加は最初で最後となりました。
「ラムネの硝子」
横浜の廃線跡に仰ぎみる葉桜越しのコスモクロック
雨上がり雫のひかり身に帯びてひときわ映える若葉のみどり
水に浮き逆さに空を眺めてる雲のグレイと余白の青を
八月の海が見たいと言う君と自転車飛ばす江ノ島ハーバー
日の沈むまぎわの色の移ろいを並んで見てる十八の夏
大空に咲く大輪をあとにして二人見つめる線
短歌人2015年7月号
2015年7月の月例作品です。
髪を切り衣替えしてまた一つシール柱に貼るせいくらべ
顔あげれば目にやわらかな葉桜の緑のエールまた歩き出す
蹴伸びしてプールに潜む5メートル解き放たれた自分に戻る
誘われて三階下へ降りゆけば同じ間取りの違う空間
飲まないと決めたからにはアルコールフリーを選ぶ サンペレグリノ
赤レンガ倉庫の窓から乗り出して世間を写す(落ちるなの声)
ご感想などありましたらお寄せいた
短歌人2015年6月号
2015年6月の月例作品です。
自転車の前かごに乗る幼子は春のいぶきを全身に受く
カーテンを明るい色に替えました十年続けて住んだ記念に
返された本のみどりの付箋から恋が始まる午後の図書館
泣き顔は見せたくなくて眠っているふりをしている(このまま帰れ)
電話から社名部署名略さないフレッシャーズのやや高き声
雨音は頭蓋(とうがい)砕く槌に似る打ちひしがれてひとり伏すとき
ご感想などありましたらお寄
短歌人2015年5月号
2015年5月の月例作品です。
点眼薬内角高めにそれてゆき鼻筋伝う涙のごとし
一列に黙礼しており各々が手に持つ白くひかる画面に
朝食のリンゴかじりて音たてるこの一日の目覚ましとして
非行という冤罪負いて推薦を消されし少年ただ自裁せり
原発を再稼働します 防災は各自治体にお任せします
ご感想などありましたらお寄せいただけると嬉しいです。
短歌人2015年4月号
2015年4月の月例作品です。
君の髪に自由に触れる美容師のあの指先に軽く嫉妬す
耳元でささやくような風が吹き春の気配がわたしを包む
如月や雲ひとつなき空あおぎ澄んだ空気を深く吸いこむ
「寒いなあ」ひとり小さくつぶやいてつないだ手ごとポケットに入れる
Uターンラッシュの渋滞見て思う都会生まれも悪くはないか
秒針がまわるくらいのスピードでインターネットの波におぼれる
ご感想などありましたらお寄せ
短歌人2015年3月号
2015年3月の月例作品です。
フレームに切り取るように空を見る美術教師の視線を辿る
オリオンが南の空に映える夜君を天体観測に誘(いざな)う
静寂に向かう余韻に身を浸す終楽章の指揮棒止まり
包装をほどく手の指もどかしく一気に破るクリスマスの朝
声もなく二人それぞれ本を手にページ繰る音ときに重なる
ゆったりと木々が呼吸をするように吾もゆったり歩き続ける
ご感想などありましたらお寄せいただけると嬉
短歌人2015年2月号
2015年2月の月例作品です。
ワイン手に『渡辺のわたし』音読す吟行の日の打ち上げとして
音もなくくびれを落ちる砂時計わたしの時を刻み落ちゆく
舞台には脚光浴びる人あればスポットライトで照らす人あり
砂ぼこり舞うグラウンドに声ひそめ敵陣睨む十五騎の馬
風を切りハチマキたちが駆け抜けるチームの思いバトンに託して
通過する時に運河の水揺らす首都高速のトラックの列
ご感想などありましたらお寄せいた
短歌人2015年1月号
2015年1月の月例作品です。
神戻る雨の霜月一日に咲く傘の花大神宮へ
自転車を腕と脚とで引きつけて紅葉横目で登るいろは坂
一度ずつ気温が落ちてゆくような曇り空から朝が始まる
駒音をひときわ高く響かせる子らにひたすら負け続ける午後
迫りくる王手王手を振り切って逃亡犯の気持ちがわかる
湾岸のダクトタワーに灯をともし夜も眠らぬ化学プラント
短歌人に入会して3回目の月例作品です。
ご感想などありまし
短歌人2014年12月号
2014年12月の月例作品です。
大空をカンバスにしてまっすぐにひこうき雲が書く一の文字
あかねさす葡萄酒少し飲み過ぎて葡萄酒色に頬染める君
あかねさす紫色のワイシャツが今年の色と背中を押され
少しだけよそゆきの声聞きたくて自宅の固定電話を鳴らす
名前のみ大きく書いた自由帳そこに無限の世界ひろがる
昨日へと戻るボタンを押したなら明日の僕は何処へ行くのか
短歌人に入会して2回目の月例作品です。