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皆既月食の夜

 昨日、2022年11月8日は皆既月食でした。

 442年ぶりだったのは皆既月食それ自体ではなくて、皆既月食の最中に惑星食が重なるという地味な点です。

 地球の影に月が隠れ、月の向こう側に天王星が隠れます。天王星は六等星、とても暗い星ですから肉眼で確認するのは困難です。望遠鏡等を用いて観察すると、月のすぐ近くにある天王星が月に隠されていく様子がみられたかもしれません。

 では皆既月食はどれくらいの周期でみられるかというと、これは国や地域によってもまちまちです。太陽光が地球に遮られて月が暗くなる、ということは案外高頻度に起こります。ところが、完全に隠れる(皆既月食)となると稀なことで、さらにその地域で月が見えるタイミング、かつ夜でないと観察に向きませんから、やはり珍しい現象といえましょう。

 近年、日本で観察された皆既月食は、2014年と2015年に1回ずつ、2018年に2回、2021年に1回ありました。次に日本で観察可能な皆既月食は2025年になるそうです。

 だから何だよ、と言われれば何でもないことです。普段見ている月が少し様相を変えるだけのこと。思うのは太陽と地球と月の位置関係から、天体が動いていることの実感です。幼少期に日時計を観察したときの、ワクワクするような感覚を少しだけ思い出しました。

 月の見えるような空を探して望遠鏡を運びます。家族四人で月を見上げて、ここなら丁度良いと腰を下ろします。夏に手に入れたレジャーシートが役に立ちます。

 お月様が食べられちゃってるんだねぇ、と息子。月食をみるのは初めてです。
 綺麗だね、と四人で見上げた月は、仄暗い赤を空に浮かべました。

 
 ただそれだけのこと。

 ただそれだけのことが、私にとってどれほどの意味を齎したことでしょう。

 膨大な宇宙の時間軸に比べたら、この人生など一瞬の夢のようなもの。夢は楽しい方がいい。

 さて、次は何をしましょうか。

 

 拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、貴方が夢から醒める前に楽しいひとときを過ごせますように。


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#エッセイ #人生 #夢

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