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心凪ぐ時にみえるもの

 加速する社会は文明の発展を持て囃し、常に何かに取り組むべしという緊迫感を広めます。次々と行うべき事柄が押し寄せて、ひとつ片付けるとふたつ増えるような生活に辟易としながらも、しかしブレーキが何処にあるのか分かりません。

 忙しいとき、人の心は虚ろになって、理性が感情を支配しようとします。抑えられた感情は行き場を失うと爆発し、外側に向けば他者を傷つけ、内側に向けば自己を壊します。


 多忙な日々から強制退場して1年と3ヶ月。

 心の波が静かなときに、みえるものがあります。

 それは水面に映る自分の姿です。

 曖昧な人影も次第に明確な形をとるように変化して、揺れる水面を撫でる風がふと凪いだとき、その表情に気付くでしょう。喜怒哀楽では分類し得ない複雑な情緒の色を見せながら、思考の残滓は水底に沈み、私と私が出逢います。ああそんなことかと思い至り、その閃きも鈍く溶けていきます。

 

 深く長い夜に、季節の移ろいを感じます。

 ほっと疲れて瞼が重くなる、今。



 散文にお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、心を亡くさない日々を。




#今こんな気分 #この経験に学べ
#つぶやき #心凪ぐ

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渡邊惺仁
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