耳掃除の話
怪しげな店の話ではありません。
日常的な耳掃除の話です。
世の中には数多の種類の耳掻きが存在しますが、自然界に耳掃除をする哺乳類は(たぶん)いません。
そもそも耳掃除は必要なものなのでしょうか。
基本的にはしなくてよい、というのが通説です。
耳にも自浄作用がありますから、耳垢は自然に外に排出されていきます。行う場合には堅すぎない耳掻きで、月に1〜2回程度で充分でしょう。
入浴後に綿棒でぐりぐりやると、却って耳垢を奥に押し込んだり外耳道を傷付けたりする恐れがあるためオススメできません。
では、私はどうでしょうか。
するのかい、しないのかい。どっちなんだい。
するーーーーー!!
なんだかんだいって耳掃除をします。
不要ですが、趣味のようなものです。
ところが、子どもは難しい。
話は数日前に遡ります。
息子が妙にテレビに近づきます。
パウパトロールを観ながらどんどんテレビに近づきます。声を掛けるとソファに戻りますが、幾度もじわじわと近づきます。どうした、息子よ。
これは何か理由があるかもしれないと思い、息子に理由を問うてみました。なぜ近づくんだい?と。
すると息子は応えます。
「よくきこえないんだよ。」
まじか。
難聴でしょうか。会話は大丈夫そうですが、思えばこの数日、小声で話しかけると反応がないことがありました。何かに集中しているからかと流していましたが、3歳児から明確に「きこえない」と表出があるとなると話が変わってきます。
これはと思い、耳鏡を取り出します。
以前、中耳炎を疑ったときに購入した代物です。
耳鏡で観察すると、ありますあります耳垢の塊。
ほとんど道を塞いでいるではありませんか。
鑷子でそうっと取り出します。
数分かけて両耳の耳垢をすっかり取り除くと、綺麗な鼓膜を観察できました。
初めは怖がっていた息子も処置を終えると、
「聞こえるようになった!」
と笑顔でした。
「パパ、じつはおいしゃさんなの?」と訊かれたため「うん、実はそうなんだよ。」と応えます。
自浄作用があるから基本的には不要とはいえ、子どもの場合には注意が必要です。それは耳垢が溜まり過ぎると、聴こえの悪さの原因になることがあるからです。しかも自分で気づくことは難しい。
御自宅に耳鏡と鑷子と医師免許があればトライしてみるのも一興ですが、鼓膜を傷付けると大変ですから、おかしいなと思ったら耳鼻科の受診を推奨いたします。
拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、貴方の耳垢がサッパリして爽やかな気持ちでいられますように。