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【文フリ東京】140字小説アンソロジーができるまでのはなし
このたび、それぞれに140字小説を書いている文字書き、
文月廿香さん(きゅん担当)
和泉直人さん(しっとり担当)
おかゆさん(しんしん担当)
あやこあにぃ(ほっこり担当)
の4人が集まり、140字小説アンソロジー「それでも季節は巡るので」が爆誕しました。
140字小説アンソロジー
『それでも季節は巡るので』
きゅんと、しっとり、ほっこり、しんしんと。
流れる時間の中には様々な色や香りがあって。
君がいて、私がいて、彼がいて、彼女がいて。
それでも、季節は巡るので——。
ちなみに140字小説というのは、旧Twitterで活動する文字書きさんの間で流行っている「140字(1ツイート)で完結する小説」のこと。
「超短編小説」とか、青い鳥消滅前は「ツイノベ」「Twitter小説」とも言われていました。
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それぞれの書き下ろしを含む自薦22作+
お互いが推薦した3作=25作
を作者ごとに1冊にまとめ、
計4冊をひとつのブックケースに収めた
珠玉のアンソロジーです!
頒布場所は、文学フリマ東京37の文月廿香さんのブース、第二展示場【く-06】廿味処です。
廿香さんご自身の御本(短編集や140字小説集)も用意されています!
ぜひお立ち寄りください!
(作品サンプルぽいものがこの記事の最後のほうにあります)
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よしよし、とりあえず言いたいことは言った、あとはページをいつ閉じていただいてもOKなんですけど、今日は、なぜこの企画が持ち上がり、どんなふうに進行していったのか、そんな話をしてみたいと思います。
ええ、自己満足です。愛と感謝にあふれたただの浮かれポンチの駄文です。
興味のない方はどうぞ回れ右を!
「く-06廿味処」だけ覚えて帰ってね!
■すべてはここからはじまった
あれは9月の文学フリマ大阪。
私はフォロワーのhamapitoさんのブースをお手伝いするつもりで会場に向かっていました。「お手伝いするつもり」の割には、お昼すぎに到着するという態度の悪い売り子でしたごめんなさい。
さらに、朝はあまりの来場者数の多さに10分前倒しで開場したと聞いていたから、「めっちゃ人多いんやろな、駅からは人波に付いていけばいいや〜」などとナメたことを考えてました。実際は着くのが遅すぎて、入口まではかなりすいてた。ちょっと道に迷った。
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hamapitoさんの当日のブースの様子は、こちらにお写真などが入った記事があるのでぜひ!(ふたりでやっている旧Twitterスペース「ゆるおは会」の宣伝のため、無配冊子に超短編小説を寄稿させてもらったりもしてました。)
そしてこの日は、私と同じく一般参加のフォロワー、文月廿香さんと会う約束をしていました。お会いするのは2度目。前回は文フリ東京の会場。
といっても廿香さんはそのとき出店者だったので、「ワーッ!」とブースへ行って、「ワーッ!」と挨拶して、「ではまた〜!」と別れるという、織姫と彦星もびっくりの一瞬の逢瀬で。
今回はゆっくりしゃべりたいな、と思っていました。
余談ですが、hamapitoさんは、めっちゃくちゃ顔が広いんです。ブースの前は、さながら「フォロワー大集合」みたいな状態でにぎわっていました。
かく言う私も、ブースを待ち合わせ場所のように使わせてもらって廿香さんと落ち合い、「先に見たいところ回って来てください」というhamapitoさんのやさしさに甘えて、ふたりで会場に繰り出しました。
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お目当てを何軒か回ったあと、hamapitoさんのブースでちょっとだけ店番もしました。(何回か売り子と知るや、お客さんに残念そうな顔をされました。)なんと廿香さんも店番に付き合ってくれて、店先に並んで立ち話。
「この後……予定あります?」
「いえ特に……。茶でもしばきます?」
「ぜひ! しばきましょう!!」
戻って来たhamapitoさんが、「回りたいところ回れたので、もう店番大丈夫ですよ〜」とニコニコ。買いたい御本を買って、ものの15分ほど店番をしただけのへなちょこ売り子は、特大級のやさしさに甘えて、廿香さんとともに建物地下のカフェに入りました。
■ドトールで爆誕したアンソロ案
初めてじっくりお話ししたとは思えないくらい話弾んであっと言うまに30分ほど経ったとき、hamapitoさんから連絡が。
『おかゆさんと和泉さん、合流可能ですか?
今どちらですか?』
おかゆさん。そして和泉直人さん。
おふたりとも同じく創作活動をしている大好きなフォロワーさんです。ちなみに、さっきhamapitoさんのブースの前で「フォロワー大集合」状態になったとき、ご挨拶はしていました。
でもまさか、ゆっくり話せるなんて!
お断りする理由がありません。
広い席が空いていなくて、2人掛けのテーブル席に座る私と廿香さんに対し、おかゆさんと和泉さんはすぐ横のカウンター席のハイチェアに体をこちらへ向けて落ち着きました。
なんだここは! 夢の空間か?
おかゆさんが解散したあとにツイートされていたけれど、「フォロワーって……実在したんだ……!」のきもちでしたよね。
しばらくお話ししたところで、「私、11月の文フリ東京に出店することになったんですよね」と廿香さん。そして3人の顔を見回して、
「本、作っちゃいますか? 4人で」
「えっ」
「せっかくスペースもらったわけですし。まだ自分の新刊作ってないから、何か置くものがあったほうが私としても安心だし」
サッ! とスマホを取り出し、製本所のサイトで概要を調べ始める廿香さん。
「ふむふむ。いつもの製本所でもブックケースが作れそうですね。……ってことで、各自の140字小説を25作選んで1冊に製本して、4冊を1つのブックケースに収めたアンソロジーにするのはどうですか? 過去作から選べば、そんなに時間も必要なさそうですし」
そう、私たちは全員「140字小説を書いている」という共通点があったのです。
前から「機会があったらコラボしましょ〜」などとひっそりラブコールを送ってはいました、いましたけれども、本来なら廿香さんのために用意された文フリのブースにお邪魔させてもらえるなんて、
女神かと思いました。
しかも廿香さん・和泉さん・おかゆさんとの合同本だなんて、
そうだこれは夢だ。
夢に違いない。
御三方は、それぞれの世界を丁寧に描いておられる、とんでもない凄腕の文字書きさんたちです。
廿香さんの作品は甘酸っぱく
和泉さんの作品はビターで大人で
おかゆさんの作品は儚く切なくて……
私がまだ140字小説を書き始めて間もないころからつながらせていただいている大好きな方々。
そんなみなさんに名を連ねるとは、普段ダジャレでお茶を濁すような作品ばかり書いている私にとって恐れ多すぎて地面に体がめり込むとともに、とんでもなくうれしすぎてドトールでサンバを踊り出しそうな勢いでした。
■こうして本ができました(私は何もしていない)
あまりにも急展開すぎて、家に帰ってから「あれはやはりすてきな白昼夢だったのかもしれない……」と再び現実を疑い始めたところに廿香さんから印刷所と締め切りを記したDMが届きました。
夢のようだけど! 夢じゃなかった!!
アンソロ計画は、廿香さんの完璧なリードと、和泉さん&おかゆさんの的確なフォローによって、急ピッチで進みました。
まず、おかゆさんが出してくださったタイトルのベース案がすてきすぎて、目ん玉が飛び出ました。(各自を四季になぞらえるのもおかゆさん発案)
で、ものの数日で廿香さんから送られて来た表紙デザイン案がすばらしすぎて、飛び出た目ん玉が転げ落ちました。
さらに、要所要所で和泉さんがしっかりと意見をまとめ、指針を示してくださり、地面に落ちた目ん玉から感謝の涙がこぼれました。
私はやいのやいの言っていただけで、何もしていません。
せめてページデザインくらいはやろうと思っていたら、これまた廿香さんが、なにやらすごいプログラム……バッチかな……? のようなものを作ってくださって、気づいたら各自が選んだ作品がページごとに配置されたPDFになってできあがっておりました。(スゴすぎてうまく説明できない)
みなさん、神だった……。ありがとうございます。一生足向けて眠れません。
■140字小説アンソロジー「それでも季節は巡るので」
![](https://assets.st-note.com/img/1699171621738-LQAStihaz1.jpg?width=1200)
おさらいしますと、
140 字小説アンソロジー「それでも季節は巡るので」は、
それぞれの書き下ろしを含む自薦22作+
お互いが推薦した3作=25作
を作者ごとに1冊にまとめ、
計4冊をひとつのブックケースに収めた
珠玉のアンソロジーです!
表紙カラーは、
春:文月廿香
夏:和泉直人
秋:あやこあにぃ
冬:おかゆ
をイメージしています。
ここで、私が推薦した御三方の作品を(勝手に)披露させていただきますね。
「星に触れてみたくない?」帰り道の土手に並んで座る彼女が一番星へ手を伸ばして言った。だから「触れられるじゃん」と僕は手のひらを芝生へと押し付け教えてあげる。一瞬ぽかんとした彼女が「たしかに!」と笑いだした。「君は夢がないなぁ。でも、そんな所も好きだからどうしようもないね」 #廿味処
▲ロマンチックなんだけどトンチの効いたオチに、「たしかに!」と思わず笑顔になりました。いつか誰かに使ってみたい……!
マッチを擦る。ぱしゅば!と独特の音が耳に楽しい。暗い部屋では唯一の灯りで、文字通り一つまみの火。ゆらゆらと揺れる。視界の端に入る手の影も、同じリズムで揺れる。軸を昇った火が、つまむ指を炙る。ぱっと手放すと、灰皿に落ちてやがて燃え尽きる。愛とはこんなものだろう。スコッチを飲み干す。
▲最後の一文に最高にしびれました。罰のようでありつつ希望も見出せる絶妙な描写に、いろんな想像をさせるお話だと感じました。
「お互い30になっても相手が居なかったら籍だけ入れようよ」別に好きではないけど、老後を看取ってくれる相手は欲しいよねと笑い合う。別にこの人と結婚したいだなんて思っていない。だけれど、タネを蒔いて手をかけてやらねば育つものも育たないのだ。この場凌ぎの約束だなんて分かってる。それに、
▲最後の「それに、」で全文が主人公の言い訳だったと悟る。だけでなくタイトルで落とされるという二段落ち。思わず感情を揺さぶられました。
せっかくなので、みなさんが推薦してくださった私の作品もここでご紹介を。
飛べない竜は役立たず。仲間は大雨の中荷物を運んでいるが自分にはそれもできない…。
ふと泣き声が耳をかすめる。路地裏を覗き込めば、雨に濡れる少女と目が合った。全てに意味があるのなら、僕が飛べないのはこういうときの為だろうか。竜はそっと近づいて、広げた翼を少女の頭上にさしかけた。
何でもない私は見送りに行くことも許されないから、代わりに東の砂浜に"好き"と書いた。海が思いを運んでくれたなら。でも今更伝えたところで何になるのかとも思う。 先輩はもう留学先に着いただろうか。好きに"でした"と付け加えた瞬間波が来て、未練の5文字を跡形もなくさらっていった。#140字小説
「その本、捨てないで」大掃除中、母が古びた絵本を指さした。手渡すと、愛おしそうに表紙を撫で、目を細める。「これね、あなたがはじめて声を出して、わたしに読んでくれた本なのよ」思わずその細い手を取った。明日、わたしはお嫁に行く。
偶然に出会った私たち。でも、おそれ多いですが、みんな「タイトルで落とす」作風で、どこか似ているな、なんて感じました。なにより、140字小説を愛している! という点では、意見が一致しているはず!
そんなみなさんと作品に向き合ったこの2か月は、本当に温かくて、かけがえのない時間となりました。なにより、「あなたの作品イメージはこんな感じ!」「作品カラーはこんな色!」なんて、なかなか普段見てもらえないような観点でコメントをもらえたのは本当に貴重な経験でした。
廿香さん、和泉さん、おかゆさん、御三方に感謝の気持ちでいっぱいです。(深々)
そして、4人をつないでくれたhamapitoさんにも!(深々)
11月11日、文学フリマ東京37にご来場の際には、どうぞ文月廿香さんのブースにお立ち寄りくださいね。
よろしくお願いいたします!
#文学フリマ東京37
— 文月 廿香 🍡【く-06】文学フリマ東京 (@h_ayazuki) October 29, 2023
お品書き〜(*´▽`*)
新刊は文月の140字小説集と、140字小説アンソロジーです🌼 既刊短編集と合同本も持っていきます!
📍く-06 廿味処https://t.co/B0XaB7HLnV
🗓11/11(土) 12:00〜
✅入場無料
🏢東京流通センター第二展示場 Eホール
📕イベント詳細→ https://t.co/yr4wXRICrN pic.twitter.com/oVM5olr0Iw
↑アンソロも、ご自身の新刊もちゃ〜んと出している廿香さんの宣伝ツイート★短編集もめちゃくちゃすてきなのです〜!!
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