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物心ついた頃から身近にテレビゲームがあった 両親がゲーム好きだったから そういえば祖父母の家にもゲーム機があった記憶が残っている 根っからのゲーム大好き家族の元に産まれてきたってわけだ ドラクエのふっかつのじゅもんを必死で書き写すことでひらがなを覚えた ゲームごとに違う戦闘システムや技名、魔法名とその効果属性などを毎回覚えることで、高い暗記力を養うことができた 悪いやつは心正しき勇者がやっつけて世界を平和に導く王道ストーリーは、素直な道徳心を培ってくれた おかげで道
「気持ち悪りぃな」 シャンデリアが輝く煌びやかな式場 華やかさを演出する色とりどりの高砂花 非日常の世界観が広がる現実に 後ろ指刺されたって わたしたちの愛は誰よりも本物でした。 *** 昨今、婚外恋愛やセカンドパートナーという言葉をよく見かけるようになりました。 ネット恋愛、アプリ婚といったパートナーとの出会い方も、非日常から日常へ。非常識から常識へ。と変わっていったように、多様な恋愛常識のあり方や受け入れ方が新しい考え方へと移行しつつあると思っています。 約20
「もう、あなたと会うのは終わりにしようと思う」 * おわりのクセが出てしまった すぐに二人の間の空気が重くなったことがわかる あなたの笑顔がかわいらしい あなたの声がいとおしい あなたの隣にいるのは心地良い でもどれだけあなたの肌に触れても ただ温かいだけで 好きという気持ちは留まったまま もう一度蓋を開けようとペットボトルを持ち変えた時 「コーヒー飲む? 」 あなたが立ち上がった 好きな人の前でコーヒーは 絶対飲まないクセなのに 「うん、飲もうかな」 大
効率的かつ合理的な男女の関係は お互いの不足分のみを補給し合って 余計な干渉をし合わない 続けていくための条件は 「恋愛感情を抱かないこと」 * しばらくすると 水の流れに重ねてシャコシャコと音が乗ってくる ふふ、また歯を磨いてる まぶたの次に動いたのは 口元だった あなたは朝起きると一番に歯を磨く 寝る前にももちろん磨くのだけれど 毎回きっちり三分間磨き上げる 家で作った夕食でも、お店で食べる外食でも 料理が全て出そろってから きっちり手を合わせて食べ始め
>> 一緒に居てもらえる世界線、俺にありますか? 当然に「Pretender」が脳内再生される はじめから引き切れない線のままならば この言葉に惑わされるべきじゃなかった 無責任に「好き」だと言えない不器用さに 永遠も約束もなかったけれど あなたの気遣いだけは あふれるほどに感じられていたから もしかすると 真っ直ぐに向き合ってみたら 線は繋がるのかもしれない そう思ってしまったの *** フワッとかすかな風に 頬を触れられた気がして 目が覚めてしまった
一本は、一目惚れ 二本は、二人だけ 三本は、愛してる 四本は、死ぬまでよ 五本は、、、? 上品な艶のある黒い箱には 鮮血のような深みある真紅色が映える 隙間なく詰められた12輪の薔薇に 思わず目を奪われて急足を止めてしまった 「あぁ、思い出した。ダーズンローズね」 百貨店の一角にあるローズ専門店 一体何人の殿方がどんな想いで購入していくのかしら 思わぬ形で浮かび上がった花束への想いに浸りながら ゆったりと過ぎゆく人々を観察していたいと思ってしまった ふふっと笑み
愛しいあなたに 黄色のマリーゴールドを捧げるわ あなたとは全く出逢ったことがない でもわたしはよく知っているの なぜなら わたしとあなたはとても似通っていたから 同じ人を好きになったあなたに 黄色のマリーゴールドを捧げるわ *** もうバスさえも寄りつかない 地下鉄駅の最寄り停留所 カチカチと 耳障りな音が響く運転席 シートベルトを外し 勢いよく首元に抱きつく 帰らないで 声にすることはできずに ただ腕に精一杯の力を込める 困った顔で 抱きしめられる 首
あなたには 好きだと 言ってもらったことがない 名前を 呼んでもらったことがない 手を 繋いでもらったことがない 嘘を ついてもらったこともない * 知り合って数ヶ月経っても 何も進まない関係だったから あなたのことを ちゃんとわかっているわと 伝えるために聞いた 「ねぇ、本命がいるんでしょう?」 「あぁ、いるよ」 ごまかすことも慌てることもなく 単なるいつものベッド上の会話でしかなかった 「でも、まちがいなく俺の中でナンバーワンだから」 そう言って
まちがいなく 俺にとってナンバーワンだよ ねぇ、わたし ナンバーワンじゃなくて オンリーワンになりたいの あなただけの わたしになりたい それって 願ってはいけないこと? *** 塾の送迎で 何度か通り過ぎて 気になっていた 小さなテラスのあるカフェレストラン 裏通りの静かな住宅街の中にあり オープンな店内を横目で見ると いつも適度に 笑顔の客で賑わっていた 今日「ランチ」で検索をかけて たまたまあなたに選ばれたお店 「ここ良さそうだよ」 バックモニター
* 「どこか行きたいところ、ある? 」 イヤフォンから届く、くぐもった声 時折、車が通り過ぎるザーッという音が 二人の会話を容赦なく遮った 「えっとね、桜が見たい 」 叶わないってわかってること 意地悪でお願いしてみた 「無理じゃない? まだ咲いていないでしょ」 「そうかな」 そうだよね わかってるわよと微笑んだ でもその微笑みは あなたには届かない 桜の美しく咲く時期がこんなにも短いなんて 気づくこともなかった あなたと一緒にいられる時間が 限られている
立派な榎の木を前にして 生い茂った力強い緑葉の揺れる様を眺めていた それはただ目に映りこんだだけで 見てはいなかったように思う なぜなら このストーリーを打ち込んでいる今、 榎の画がぼやけたレンズを通して見た時のように 薄雲って残痕となり頭の中に転がっているからだ 「昔、この中山道は水はけが悪かったから、そこの板橋のところから見える桜は、散った花びらが水に浮かんだまま流れなくてね。まるで桃色の絨毯のようでそれはそれは綺麗だったよ」 同じ榎を見上げながら もう二度と見られ
黒い階段を 一段一段ゆっくりと上っていく 呼吸はしていたのかしら まぶたは開いていたのかしら 月冴ゆる夜に 薄手の上着だけを身につけ 靴は履いていなかったのかしら もう先の階段がないとわかると 暗闇に立ち尽くす そこから見える黒は 美しかったのでしょうか 最後に見た画は 闇だったのでしょうか わたしの未だ知らない世界へと あなたは踏み出した *** 音量マックスで流れる 間抜けな着信音 シャワーの音も流石にかき消された 落ち着いて栓を捻り湯を止めて タオ
女性としての一番の魅力とは何かをたずねたら あなたは何と答えるかしら 上目遣いの潤んだ瞳 はにかんだ時に浮かび上がる笑窪 曲美を描いたふくよかな体つき どれも魅力的だと思うけれど わたしは彼女の「小さな艶かしさ」が ずっと忘れらない 女性として最も憧れ尊ぶ存在 それが小さな彼女なの *** 「お誕生日おめでとう!」 彼女から手渡されたのは 小さな小さなヒヨコが何十匹と詰まった箱だった 思わず瞬きをして、ヒヨコと彼女を見比べた 彼女は屈託のない笑顔でわたしを見つ
もしもサンタが来てくれるのなら 背を伸ばしてもらいたかった そんなことを言って サンタクロースを困らせるの クリスマスなんて 自分には何の意味もないし 世の中が騒いでるただのイベント ケーキもチキンもいらないし 今年はツリーを飾る気さえ起こらない だってもう、自分にとってのサンタは やって来ないのだから そんなことを言って サンタクロースを悲しませるの サンタクロースって 子どもにしかプレゼントを配らないものよ だから プレゼントを貰えなくなったことは あなたが