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サンタクロースの願い事

もしもサンタが来てくれるのなら
背を伸ばしてもらいたかった

そんなことを言って
サンタクロースを困らせるの


クリスマスなんて
自分には何の意味もないし
世の中が騒いでるただのイベント

ケーキもチキンもいらないし
今年はツリーを飾る気さえ起こらない

だってもう、自分にとってのサンタは
やって来ないのだから

そんなことを言って
サンタクロースを悲しませるの


サンタクロースって
子どもにしかプレゼントを配らないものよ

だから
プレゼントを貰えなくなったことは
あなたが大人になったってことなの

大事なこと
誇らしいこと
自分の力で生きていく素晴らしさを
これから知っていってほしい


でも笑っちゃうわね
サンタクロースへの無理なお願いは
わたしが子どもの頃に願ったプレゼントそのもの

あぁ、叶えてやれるものなら
叶えてあげたい

きっとわたしのサンタクロースも
そう思い悩んだことでしょうね


今年はわたしが
あなたのサンタクロースになるわ

いなくなったサンタクロースの代わりに
わたしがあなたの願いを叶えたい


煌めく流れ星のように
瞬く間に記憶が欠け落ちてしまうあなた
そんなあなたの星空の中にも
絶対に流れ落ちない一等星がある

それが「紫色」

紫を見ると間違いなく
たちまち暗い夜空から明け方の空へと
あの頃のかわいいあなたへと戻っていく

あなたの部屋は
たちまち紫色であふれかえるようになる
あの頃のかわいいあなたに会いたいから

自分の願いを口にすることがないあなただけれど
めずらしくこれが欲しいと
わたしに伝えてくれた物があったわね

色違いのお揃いの長財布だった

それを聞いた時
あぁ、大人になったわねって
ちょっぴり誇らしく感じたのよ


クリスマス用にラッピングしてもらって
リボンをかけてもらって
気づかれないように隠しながら
その日を待ち続けている

サンタクロースって
こんな気持ちなのね
初めてだからドキドキしてしまうわ


ついに今宵
あなたの枕元にプレゼントと
サンタクロースの願いが届くのよ

きっと箱を開けて中身を見た時に
こんなもの欲しいって言ってないと
驚かれるかもしれない

美しく煌めく紫色
きっと新しい記憶の中で
また好きになってくれると信じている


枕元に届けられるのは
今年が最初で最後

わたしはこれからも
ずっとあなたのサンタクロースであり続けたいと願う


背だって
まだまだ伸びると思うわ

大人になることだって
すごく楽しいことだと思うわ

やろうとさえ思えば
何でも希望を持てる世の中だと思うわ

どうか、サンタクロースへの願い事は
ずっとずっと持っていて欲しいの


それがあなたの枕元に忍ばせた
サンタクロースの願い事




「サンタクロースの願い事」

〜END




どうぞ素敵なクリスマスを!
☆★ Happy Merry Christmas ☆★


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*うみゆりぃ*|クロノ×エッセイスト
恋し続けるために顔晴ることの一つがnote。誰しも恋が出来なくなることなんてないのだから。恋しようとしなくなることがわたしにとっての最大の恐怖。いつも 支えていただき、ありがとうございます♪

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