ともに違いを味わい、楽しむこと〜分科会への想い〜
SDGsスタートアップ研究分科会副代表の早川 淳です。塙さんに続いて、Blog 第6号では、私がどんな想いでこの分科会活動に携わっているのかをご紹介させていただきます。どうぞ、お付き合いください。
私が大事にしていること
〜誰もが自分の人生の主役〜
私は、自分自身が、家族が、そして自分と接する身の回りの人たちが、幸せでありたいとずっと思っています。誰もが自分の人生の主役なのだから。
幸せのかたちはひとそれぞれ。「人は十人十色」という古くからある言葉の通り、誰一人として同じ人はいない。見かけが違う、生い立ちが違う、能力が違う、過ごしている環境が違う、目指しているものが違う、ものの見方や考え方が違う、価値観が違う。おのずと理想としている幸せのかたちも違う。
私自身、30年以上連れ添った妻のことは未だによくわかりません。だからこそ、面白いし、魅力がある。今でも関係性は変化しており、これからも一緒に過ごす意味があると感じています。
私にとって「幸せであること」とは、「ともに違いを味わい、楽しむこと。そして今とは異なる新たな世界に向かって進むこと」です。
「幸せ」について真剣に考え続ける日々
ではなぜ、このように幸せについて考えるようになったのか?
大学を卒業してから、都市銀行のシステム開発に従事しました。初めて職場で仕事をしたとき、「仕事って難しいなぁ、思い通りに行くことなどほとんどない」「世の中は変わった人ばかりだなぁ、うまくやっていけるだろうか」などと、不安に駆られました。信じられないくらい偏屈な上司や強引な先輩もたくさんいました。
仕事漬けの毎日を過ごすうち、徐々に腕も上がって周りからもリーダーとして認められ、プロジェクトをマネジメントする立場になってきました。融通の利かないマシンを相手に金融システムを開発し、血気盛んな人たちとプロジェクトを推進することは、正直、しんどい。体調を崩す人も少なくなかった 。「どうせなら仕事に関わる人たちが「幸せ」を感じる瞬間を大切したい」と願う気持ちが強くなってきました。
人や組織のことに悩み、考えていたこともあり、今は人材育成トレーナーという仕事をしています。見知らぬ人たちと出会い、短い時間で信頼関係を築いてじっくりと対話をしたのちに、お互いの健闘を祈ってお別れする。こうした日々を積み重ねています。「個と組織を生かす」とか「目指したい未来」について徹底的に考える、言い換えれば「幸せ」について真剣に考え続ける日々です。
いつの間にか「自分が大事にしていること」と「仕事として大事にしたいこと」のほとんどが重なっていました。
とかくに人の世は住みにくい?
ところで最近、「これが正解だからこうしなさい」「常識だよね?」「目的を描かなくては思い通りのキャリアは歩めないよ」「あなたはどうしたいの?(ウィルハラ)」などなど、多様性を排除するような動きが増えて、生きにくい世の中になっていると思いませんか?
以下、明治文学者 夏目漱石『草枕』の冒頭の一節。
「人の世は住みにくい」は言い過ぎですが、角が立つことが多くて漠然とした閉塞感が漂っていることは事実のようです。
海外旅行は常識が覆る瞬間
そんな日常から一歩離れて海外旅行をしていると、常識が覆る瞬間に出会えます。閉塞感からの解放です。
まだコロナ禍前のことですが、(自称)動物園Youtuberの妻と一緒にロンドン動物園に行きました。これは、そのとき見かけたパークルールの看板。
禁止事項がびっしりと羅列された日本流ルールとは異なり、目につきやすい左側にDO (推奨される行動)の記述が配置されている。
「野生動物をリスペクトせよ」、「双眼鏡を使って観察せよ」。来園者を信頼して、大切にして欲しいことを絞ってメッセージしている。驚いたことに、4つあるルールのうち最後はジョークで締めくくっている。「撮って良いのは写真だけだからね!(動物を連れて帰っちゃだめだよ)」 さすがイギリス。
SDGsは日常感覚
SDGsに関係するものもふつうに目にすることができました。
こちらは、オーストラリアで出会ったもの。
① カンタス航空のスマートフォンアプリのアイコン。LGBTQI+ が選べます。アラン・ジョイスCEOはLGBTIコミュニティを支援しています。
② オーストラリアの動物園にあったJOIN THE REFILL。ペットボトルのリサイクルで、水を無料で継ぎ足すサービス。「ペットボトルは使うな」ではなく「すぐに捨てずに使い回そう」。
③ トイレのタンクにある水の節約を促す注意書き。ここまで書いてあると嫌でも意識が喚起される。
④ 男性用・女性用と並んでUNISEXトイレがある。パークの人に聞いたら、これが当たり前とのこと。日本では「多目的トイレ」と曖昧な位置づけにしているけど、堂々とUNISEXとある。これなら生きやすい。
Google FlightsにはCO2排出量が表示される
エアラインチケットの購入に影響力のあるGoogle Flightsでは、各社の便ごとにCO2排出量が表示され、並べ替えることもできます。購買基準として価格に加えて、排出量という基準が加わったということです。また欧米では、フライトマイルを稼ぐために無意味な遠回りをすることは「恥」(flight shame)という認識が広まりつつあります。
こうしてグローバル視点で眺めてみると、SDGs17の目標が日常に馴染んでいるではないか!「SDGsってあやしい」なんて言っている場合じゃない!
PMI日本支部メールマガジンで分科会と出会う
ちょうどコロナ禍が蔓延していた頃、漠然とした閉塞感を感じつつPMI日本支部メールマガジンをななめ読みしていたら、『分科会メンバー募集』の文字が目に留まりました。
SDGsに関する深い知識などはなく、SDGsの基本理念、「誰一人取り残さない」に共感するくらいのレベルでしたが、新たな変化を求めて入会を決めました。
ただこの基本理念は、自分が大事にしている『誰もが自分の人生の主役』と『ともに違いを味わい、楽しむこと。そして今とは異なる新たな世界に向かって進む』に重なる、大事なものです。
方法論を広めていきたいという想い(野望)
分科会では主に、アドバンスコースでのPM支援、SNS企画・広報の活動をしています。入会してから、分科会メンバーやPM支援をしている団体メンバーとの対話を通してSDGsのことをあらためて勉強しました。
また、分科会が提唱しているSDGsスタートアップ方法論についても、ワークショプの資料やビデオを見ながらじっくりと学習をして、だんだんとその魅力に引き込まれていきました。今では、分科会が生み出した方法論や分科会の活動を世に発信していきたいと強く思うまでになっています。
人や組織が変わるにはツールとセオリーが欠かせません。ツールやセオリーに関する情報を発信すれば触れてくれる人がいる。触れれば視野・視界が変わる。私が海外旅行で刺激を受けて、小さくとも世界観が変わったように。
冷静に考えると『SDGsスタートアップ方法論』という発想は面白い。
「スタートアップ」手法と「プロジェクト・マネジメント」セオリーを組わせて、「SDGs」が対象とする社会課題を解決していく。一見異質に見えるものを組み合わせて成立させている分科会の方法論にはワクワクを感じます。
2022年秋からSNS運用を始めました
そんなワクワクを感じる方法論を、より多くの方々に知っていただく、そして現実の場面で活用していただくためのメディアとして、3つのSNSを立ち上げました。
代表の稲葉さんの「SNSをバラバラに運営するのではなく、連携しながら運営していこう。3つのSNSの役割をイマヌエル・カントの「知・情・意」に倣って整理してはどうか?」というアイデアから、フォーメーションを組んで運営をしています。
【Facebookプライベートグループ】〔意〕
コミュニティ形成のプラットフォーム
【note(Blog)】〔情〕
『想い』の発信
【Youtubeチャンネル】〔知〕
『知識と考え方』の発信
まだ始めたばかりのSNSではありますが、ご興味が湧いたら、ぜひ、覗いてみてください。
ちなみに最近リリースしたYoutube動画は『SDGsスタートアップ研究分科会の考えるSDGsとCSV〔社会課題の解決に向けて〕』です。
ご視聴いただけましたら、チャンネル登録と評価をよろしくお願いします。
以上、私がこの分科会と携わっている想いをご紹介させていただきました。最後までお読みいいただき、ありがとうございました。
編集部注:ヘッダー写真画像の引用元 Adbe Stock (https://stock.adobe.com/jp)