ぼくが鉄道を好きになったキッカケの話
少し前、長期連載(と化してしまった)の記事である北海道に関する資料を探しに図書館へ向かった時の事だった。時間の都合があったので、偶然にも開館していた児童書のゾーンへ。成人向けの図書室は2階、児童向けの図書室は1階と分かれている図書館で、久しぶりに『乗り物』の本を扱っている棚を見てみようと覗き回っていた。
懐かしくつい手に取ったものもあれば、
「今の子ってこんなの読むんだ!」
みたいな発見も続々。そして、歩いてたどり着いた『乗り物』の本棚。自分が見つけたのがこの
『はたらく電車 大百科(改訂版)』
であった。
「懐かしい感じのテイスト!」
と思い手にし、そして何ページか覗いてみる。
その中に、何か自分の鉄道好きになる1つの原点のようなものがあった。
はたらく電車…そう、文字通り、『はたらく』電車だ。
電車の仕事、というのは。鉄道の仕事というのは、乗客や荷物の輸送である。それは皆さんも日々の利用などで分かる日常の当たり前の事だ。
この『はたらく電車』という書籍では、そういった職業ではなく、
『鉄道を支える、輸送の切り札となる裏役者・脇役者』
について記した書籍である。そうした電車たちの仕事。はたらく電車たちの役目は、隠れてわからないものだ。また、日中時間帯に遭遇できたとしても『回送電車』『試運転電車』として乗車する事はできない。そうした存在になっている裏役者たちの存在を取り上げた書籍なのである。
そうした役割の電車たちの仕事は、
『架線の検測や鉄路の保守・修繕、鉄路の点検』
である。存在を意識し、撮影や追っかけをしている鉄道ファン意以外にその存在を知る人は居ないだろう。
あまりにも有名すぎる存在として、JR東海・JR西日本の『ドクターイエロー』がある。しかし生憎撮影できていないのでJR西日本の事業用電車で代用…
先ほども上げた、この謎の電車。これもドクターイエローと同じくして、はたらく電車…の1つなのである。
形式名は『DEC741形』だ。ドクターイエローと同じくして、鉄道の架線検測などを主要に行う、鉄道の裏役者だ。営業時間に走行している姿を見る事ができるので、割と遭遇はしやすく。そしてJR西日本の各線を走行するので、西日本に在住の方なら見慣れ見覚えのある存在かもしれない。
また、会社の垣根を突破してJR四国・JR九州・肥薩おれんじ鉄道・えちごトキめき鉄道…といった、JR西日本付近の第三セクター線にも入線するので、非常に運用範囲が広い。北は新潟、南は鹿児島と何処でも仕事に駆けつける。
…と。そうした事に関しては一旦置いておいて。ここからが本題になる。
写真に掲載した電車は、これまた電気検測車のモワ24系『はかるくん』。近鉄で架線検測の仕事を主に行っている、電気関係の裏役者だ。
今回、図書館で思わず見惚れ借りてしまった1冊の書籍、『はたらく電車 大百科(改訂版)』。
こうした『濃い』鉄道の児童書籍を読む事によって、自分の鉄道脳は育てられていったのである。もう既に10年以上も前の話だ。小学生の頃にまで遡る。
この頃は周辺にパソコンなどもなく、学校のない日は図書館と自宅を往復するような生活を暮らしていた。今でも自転車で自宅から図書館まで激走したのは記憶から離れない。帰りの自転車では、詰め込んだ本の重さに取られないようにハンドルの舵を必死に切って走行したものだった。
通常、鉄道の児童書や絵本…となれば、トーマスシリーズや一定の『乗り物絵本』などを読んで大体が終了する事が多い。
しかし、自分の場合は本を借りて何冊も何種類も鉄道の沼に浸れたので、そうした環境が自分を鉄道好きへ引き上げたのであった。中には難しい成人向けの鉄道書籍も小学生〜中学生で読み漁り、気が付けば何も見ずに図書館に入館するや否や『交通・運輸』・『鉄道』の本棚まで行けるようになったのである。これに関しては謎に誇れるスキルかもしれない。
現在記している長期連載の北海道旅でも、この写真に映るJR北海道の検測車両・マヤ35形に遭遇したので良ければマガジン欄を漁って探していただきたい。(さりげない宣伝ですが)
しかし、図書館で自分の鉄オタへの階段が敷かれそこを駆け上がっていく事になったキッカケ…として考えられる事は何だろうか。
まず、自分の妹が習い事でピアノを習っておりその一環で、併設されていた図書館へ行く事がよくあった…のがある。
自分の持っている発達障害の特性として、『落ち着いていられない』というあまりにも挙動不審でそそっかしい特性がある。この特性のお陰で、自分は妹の発表会に関しては殆ど生で見る事がなかった。その妹も大学を修了し、そろそろ就職を迎えるのだから早いものだ。だが。その肝心となるピアノに関しては早くに辞めてしまった.いつだったろう。
話を戻そう。
自分が持っている発達の特性にある、『1つの場所で落ち着いていられない』個性。この個性が図書館と繋がっている事だ。
妹のピアノ教室の発表会は、図書館併設のホールで実施される事が多かった。家族で行く事が多かったのだが、落ち着けない自分の過ごす場所は決まって併設されている図書館だったのである。
図書館にいる時間、自分はずっと鉄道に関する書籍。そして写真中心の鉄道書を探す為に雑誌も含め、鉄道関係の児童書を探して貸出制限を迎えるまで借り、読み耽ったのである。
多分、鉄道オタクになってしまうキッカケ。鉄道好きになってしまうキッカケの1冊を挙げてくれ…と誰かに問われた時、自分はこの1冊を上げるだろう。
小学館の鉄道図鑑。
現在は京都鉄道博物館の慣習と協力を仰いだ少し特殊な1冊に変化してしまったのだが、その中にある少し特殊なページがあるのだ。
それが、電気機関車のイラストを大量に纏めて掲載した一覧である。
その中には、通常であれば『直流電気機関車は青』・『交流電気機関車・交直流電気機関車であれば赤』だけで済むところを、
青い電気機関車にはこれだけの種類。EF60形・EF63形・EF66形…と多くの紹介が入っているのである。
その図鑑を幼少期、食い入るように眺めていたのが完全に今に至るまでの流れだろう。野球で言うのであれば、大量得点で最終回に突入し、相手チームを振り回す一方的な試合をした中で最後、痛快な満塁ホームランを放つ…といった勢いかもしれない。…なんというか、完全にダメ押しというのだろうか。
そうした環境が、自分を鉄道への道に連れて行ったキッカケである。
自分の一家の特徴として、
・書籍は購入するくらいなら図書館で借りたほうが早い
という考え方を持っている。こうした考え方も、自分の図書館通いを推し進めるキッカケだろうか。ただ、文庫や小説でその考え…は少し怖いのだが、実用書や趣味の一途期の本であれば、借りて期間限定で見て終わり、使いたい知識を一定眺めて終了・返却でも自分の中では頷けるのだが。
そして、多くの人に言っている事がある。
「大体…なんですけど、鉄道好きになっていく人っていうのは通勤電車とか特急を好きになっていくんですよ。でも、すぐ飽きる人は新幹線やストーリーもの(トーマスなど)を好きになって、知らない間に離れていく。そういう過程なんです。」
ある意味で自分の環境の中にその言葉が入っているような気がしたので、このエッセンスも少しだけ。
自分の母方の家が三重県は津市にあり、よく赤子の頃から近鉄特急に乗せられて京都⇄三重を近鉄特急で往復した。
その中で特急車の花形、アーバンライナーで帰れる時や伊勢志摩ライナーに乗れる時には
「今日はアーバンやで、良かったなぁ」
と母から声をかけてもらったり。母方実家付近で近鉄名古屋線を見に行ったりして、団体臨時列車の『あおぞらⅡ』などの存在を知っていくようになり、そこから鉄道が好きになって行ったのである。
ある意味、自分を取り巻いた鉄道の環境も影響しているのかもしれない。
最後にまた不束なまとめをすると、自分が鉄道好きになっていくキッカケ。鉄道に注視していくような人間になったキッカケ…というのは
・図書館が近い環境
・近鉄名古屋線沿線で育った事
があると言える。近鉄という会社自体、車両に濃い特徴があり、電車自体のクセも一つでは収まらない。この2つの影響で、自分は鉄道を好きになっていくのであった。
母や家族親戚には
「いつまで鉄道やってんの?」
と言われているこの趣味だが、きっと生涯墓場までは間違いないだろう。
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