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吸水ショーツ市場に参入しなかったわけ

by Satoko@スクーンカップ 


競合マーケティングに照らし合わせた戦略

現在は世界36カ国で販売を展開する、スクーンカップ を商品開発し、欧米と南米の国々に加えて、「日本で初めての月経カップ」として市場参入を開始し始めた頃の話しだ。

連絡を受けたのは、ニューヨークの女性企業支援団体からの電話で、「オフショアの生理用吸水ショーツの工場が日本市場へ参入したがっているが、協力してもらえないか」とのことだった。

アジアにあるその工場は、5,000人の労働者が働く工場で、ヨーロッパを中心に商品供給をしている。アメリカでは、ニューヨークに本社を置く、生理用吸水ショーツのメーカーのために製造を供給している

そのニューヨークのブランドはなかなか素敵なブランドだ。女性だけのパートナーで運営されており、マンハッタンの地下鉄の中吊りを買い切ってラディカルな広告を打ったり、ぽっちゃりした女性モデルを使って、痩せたモデルだけではない、もっと広い層の支持を得ていた。

そのマーケティング戦略は素晴らしく、私も同じフェムテックブランドを経営する者として尊敬の気持ちを込めて見ていた。

しかしながら消費者の商品レビューを見てみると、ブランドの作り上げているイメージに似合わない印象だ。生理が多い日には経血が吸水ショーツから漏れてしまうという意見が目立った。

素晴らしいコンセプトでありながら商品の特性が今ひとつ完成されていないような気がして、私はスクーンのブランドとしてタイアップすることを躊躇した。

マイケル・ポーターの差別化戦略

日本の市場は、売れる商品に目ざとい。位置的に「世界の工場」中国が近いので、欧米で売れている商品が電光石火の如くコピーされる。

「スクーンカップ」 は日本で初めて厚生労働省の認可を得た月経カップで、そのためにはさまざまな手続きが必要だった。それに比べて生理用吸水ショーツなら、製造できれば法律に関係なしにすぐに販売開始できる。つまりエントランスバリアーが低いのだ。

必要な資本にも大きな差がある。スクーンカップ の金型を作成するには、リサーチや設計図面、鋳型の作成1000万円以上のコストが軽くかかる。吸水ショーツなら、初期投資額は多くない。

ということは、生理用吸水ショーツは競合の入ってきやすいマーケットだ。

マイケル・ポーターの戦略の基本原則

これはマーケティングの神様と呼ばれるマイケル・ポーターの戦略の基本原則で、コスト項目に対する詳細なモニタリングの仕組みに関連する。


ポーターの差別化戦略の正しい理解

競合マーケティングで、もっとも効果的なのは「闘わずに勝つ」こと。
特許をとって商品を保護する、圧倒的な資本の差で競合を寄せ付けないマーケティングをする、競争の少ない市場で闘う、など、よく吟味検証された場で戦うのことが勝利への可能性を高めることになる。

数値化できない落としあな

さらに追い打ちをかけるように、その吸水ショーツブランドが訴えられるという事件が起きた。

有毒な化学物質が含まれているという申し立てをめぐって、消費者を危険にさらしていると非難する集団訴訟案が、カリフォルニア州中央地区連邦地方裁判所に訴え出た。

製品に有害なレベルでポリフルオロアルキル(PFAS)物質が含まれていると主張するその集団訴訟案に対して、ブランド側はすぐに対応できず、原告側はさらに微量以上のPFASが含まれていることを証明する試験結果を提出。

PFASは、簡単に分解しないため、腎臓癌を含む様々な病気に関連していると言われている。薄膜の下着を着用した結果、一部の顧客は、不規則な月経周期、尿路感染症、酵母感染症、甲状腺の問題、原因不明の不妊症を含む身体症状を発症した、と原告側の集団訴訟は述べている。

吸水ショーツは安全か

その後、裁判がどうなったのか、事件を追っているわけではないのだが、コットンなどの通常の繊維では経血が漏れないようにすることなど考えてみれば土台無理なのだ。

吸水ショーツが安全ではないなどといっているのではない。もちろん日本製の商品もあり、繊維が直接触れる肌への考慮は十分にされているのかもしれない。

しかしながら企業として製品を消費者に届けるには、その責任を果たさねばならないし、どんな化学物が使われ、どんな影響が人体に及ぼされるのかを知らぬまま、商品を販売することはできない。

スクーンカップは度重なるバイオテストをして、アメリカのFDAでも登録しているだけでなく、501Kという詳細書類を提出してその安全性が認められている。それは安全性に何重ものゲートウォッチを設定するためである。

そこまでしないで市場に流通している月経カップがほとんどだ。肌に直接触れる製品だからこそ、消費者は自分の体を自分たちで守らねばならないことを、ここで喚起したい。

スクーンカップ について www.sckooncup.jp

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