英語の時制⑤-0c:仮定法(後半)(学校英語の復習)[丁寧で控えめな表現&敬語]
学校英語における仮定法の定番説明(3記事に分割)
中学・高校での英語習得が不十分な人のために、学校英語の復習を記事化。分かりやすくするため、個人的な整理法やコメントも加えております。今後も少しずつ追加・修正していく予定です。
学校英語の仮定法と実用的な仮定法(TOEICパート2など)の違い
この記事では「仮定法を使った丁寧で控えめな表現」をご説明します。学校英語では扱いが小さい項目ですが、TOEICパート2では主役級。現状、「仮定法(を使った丁寧で控えめな表現)」として扱われるべき表現が学校英語では「助動詞」の項目のなかで単なる慣用表現のような扱いしか受けていない、という見方もできるでしょう。複合的な文法項目なので、助動詞と仮定法のどちらで扱うべきか混乱するのも無理はありません。
一方で、実用的には滅多に遭遇しない古めかしい表現が学校英語では今でも多数紹介されています。細かく見ると学校英語には意外と不備があり、なかでも特に仮定法は再編・再考が必要な文法項目と言えるかもしれません。
【仮定法の個別具体例⑦】 仮定法を使った丁寧で控えめな表現1
1. wouldを使った丁寧な表現(will vs would):依頼、許可を求める表現
a. Will you close the window? : 直説法
b. Would you close the window? : シンプルな仮定法過去
c. Would you mind if I closed the window? : 仮定法過去+"mind if"
d. Would you mind closing the window? : 仮定法過去+"mind -ing"
(直説法では、"Will you mind ~?"ではなく"Do you mind ~?")
※"Would you ~?"は、相手への依頼や自分の行為の許可を求める表現
※"Would you ~?"は、学校英語の「助動詞」で通常扱われる表現
※"Would you mind -ing?"は、「動名詞」で通常扱われる表現
2. "I wonder if ~"を使った丁寧な表現 : 遠回しな依頼(≒遠慮)
a. I wonder if you can help me. : 直説法現在+直説法if
※「助けてくれるかな」というような直接的な依頼表現
b. I wonder if you could help me. : 直説法現在+仮定法過去if
※遠回しにすることで少し丁寧な依頼になる、が定番説明
c. I wondered if you could help me. : 動詞過去形+仮定法過去if
※より遠回しになり丁寧さが増す、が定番説明 : wondered は直説法?仮定法?
d. I was wondering if you could help me. : 動詞過去進行形+仮定法過去if
※さらに丁寧さが増す、が定番説明 : "was wondering"は直説法?仮定法?
e. I've been wondering if you could help me. : 動詞現在完了+仮定法過去if
※学校英語では紹介されていないようですが、実用上は普通
3. wonder 以外に think や hope も似たような意味で使うことが可能
Do you think you could help me?
【仮定法の個別具体例⑧】 丁寧で控えめな表現2(学校英語では「助動詞」)
以下は、後日公開予定の「助動詞」記事で詳しく扱う予定です。
1. wouldを使った丁寧な表現(will vs would)
a. I'd like something to drink.
b. I'd like to do it.
c. I'd rather not do it.
d. I would say ~.
e. That would be great.
2. couldを使った丁寧な表現(can vs could)
a1. Can I ~?
a2. Could I ~?
(vs "May I ~?")
b1. Can you ~?
b2. Could you ~?
c1. Can it be true?
c2. Could it be true?
(vs "Might it be true?")
3. may vs might
a. May I ~?
b1. You may be right
b2. You might be right.
c. Might it be true?
d. "may well" vs "might well"
e. "may as well" vs "might as well"
4. shall vs should
5. 慣用表現"had better"
◉繰り返しになりますが、学校英語ではこうした中途半端な扱いの「仮定法を使った丁寧で控えめな表現」はTOEICパート2では主役級で、日常会話でも頻出する表現です。さらに言えば、実は多くの場合に助動詞の過去形が仮定法の唯一の目印です(現在や未来のことを過去形で表すのは、文法的には仮定法の原理の応用)。
【仮定法の基本原理(追加)】 日本語と英語の敬語体系の違い
❹英語の敬語は「仮定法で時制を過去にずらす」が原則
1. 英語は仮定法を応用することで丁寧で控えめな表現を実現
2. 直説法の直接的な意味合いが仮定法で間接的なニュアンスに
直説法は現実的で断定的
仮定法は主観的な考えや思い(妄想)という体裁(≒遠慮)
「過去形にすることで現実と距離を置く」(≒遠慮)、がほぼ定番説明
3. 日本語の敬語に相当:和英の敬語体系の違いを意識することが鍵
"Please close the window."等の「お願い命令文」に要注意
"Excuse me. Tell me the way to the station."にも要注意
※"please / excuse me"を使っていても命令文なので無作法
尊敬語・丁寧語・謙譲語を駆使する日本語とは大違い
参考にした総合英語書籍
アトラス
INSPIRE
Evergreen/Forest
ジーニアス
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