リュカオン

映画や小説の感想などを書いていこうと思う。 22歳男性、都会っ子。

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最近の記事

『悪は存在しない』に対する視点の提示

はじめに2024年4月26日公開の映画『悪は存在しない』を鑑賞した。 本作の大まかなテーマ自体はシンプルで「善と悪」や「自然と文明」といった 形式化された二項対立に対する疑問符であると思う。 実際、濱口竜介監督もインタビューでそれらしきことを言っている。 それでは、さらに一歩進んで考えようと思った時どういったレビューを書くのが いいのだろうか。このことについて自分なりに考えた結果、自分なりに映画の解釈のポイントをまとめてみるのがいいと思った。 そのため、ラストシーンに関す

    • 映画『オッペンハイマー』レビュー+α

      はじめに2024年3月29日公開の映画『オッペンハイマー』を鑑賞した。 本題に入る前に、何よりIMAXで見て良かったという事を伝えておきたい。 IMAXの爆音の表現がかなり今作の魅力に貢献していた。 ノーランがサブスク等ではなく、映画館での鑑賞に重きを置いている事は有名な話だが、今作も音の臨場感が凄まじく「絶対劇場で鑑賞してください」という心意気が感じられた。 本レビューではそこまで大きなネタバレはしないが、それでも内容について何も知りたくない方は読まない方がいいと思う。

      • 映画『オーメン:ザ・ファースト』レビュー

        はじめに2024年4月5日公開の映画『オーメン:ザ・ファースト』を鑑賞した。 近年のホラー映画というとハリウッド大手の配給会社から過去作品のリメイクや リブートを繰り返している印象があり、元々は今作品にも期待をしていなかった。 しかし、割と評判がいいのに加えて、予告編が面白そうに見えたこともあり、 迷った結果鑑賞に至った。 結果から言うと、中々の良作であった。ぼく個人としてはリメイク版の 『サスペリア』ほどの衝撃や感動は無かったものの単調な『オーメン』の前日譚 になることは

        • 映画『プリシラ』レビュー

          はじめに2024年4月12日公開ソフィア・コッポラ監督の作品『プリシラ』を鑑賞した。 ソフィア・コッポラ監督の作風は割と好きなので、今作もかなり期待をしていた。 結果から言ってしまえば、個人的にはかなり楽しめる映画になっていて、満足して 映画館を出ることができた。 とはいえ、あらゆる人に対して親切な映画では無いという印象もあったので その辺りも含めてレビューしていければと思う。 本作は伝記映画であり、ある程度結論や展開に触れても良いという感覚があるため、本稿はそれなりにネタバ

          映画『ひとつの愛』レビュー

          東京国際映画祭にて鑑賞したイザベル•コイシェ監督作品『ひとつの愛』はとても風変わりな映画でした。ネタバレは多少はあると思いますが、なるべく避けつつ、レビューをしていきたいと思います。 ナタリアの人物像主人公のナタリアは都会から今作の舞台である田舎まで引っ越して来るいわば部外者の人物なのですが、ボロボロの家に住んだり、危険な犬を飼ったりとあえて自己を痛めつけるような行動を取っている点が特徴的に感じました。自分をあえて追い詰めていく事でこれまでの自己から変化しようと思っていたの

          映画『ひとつの愛』レビュー

          映画『シック•オブ•マイセルフ』感想

          ※多少のネタバレを含みます。  クリストファーボルグリ監督作品、『シック•オブ•マイセルフ』を一言で表すならばポリコレ時代のファイトクラブといった印象でした。ファイトクラブのように日常に対する不満や怒りの発散を外部に放出することができず、薬という内向きの方向性へと発散させていく自己破滅的な部分が現代という時代との親和性を感じました。しかしどちらも、自己の現状に対する不満を破滅的に解消していこうとする勢いを描いている点は共通点なのではないでしょうか。  作風全体としては、ヨ

          映画『シック•オブ•マイセルフ』感想