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エッセイ・詩

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秋の朝

秋の朝

早起きは苦手だけれど

早く目が覚めた、秋の朝。

こんなにも世界は穏やかで

美しい。

いつものコーヒーが

適当に作ったスクランブルエッグが

美味しい。

ずっとこうやって空を眺めて

穏やかな気持ちで過ごせたら。

雲一つない空のように

なんの濁りもない心でいられたら。

日常の小さな感情を集めて、言葉のかけらを集めて、宝箱を作ろう。

秋

今日きっと、秋が来た。

乾いた空気、心地の良い日差し、少し汗ばむ気温。

深呼吸が気持ちいい。

一人でいたい気持ちと、誰かに会いたい感情が交差する。

これを秋と呼ぼう。

通勤路のイチョウの木が少し色づき始めた。

生きている喜びと、虚しさが交差する。

そんな秋が好きだ。

短いから、儚いから、想いを馳せるのだろうか。

ただ、秋が好きだ。

夜の、湿った匂いが好きだ。お酒を飲んで少し酔って、深呼吸する。静かなこの世界に、まだ存在してもいいような気がする。

仮面

仮面

私は仮面を被っている。

いつ被り始めたのかははっきりと覚えていないが、二十歳前後だ。

仮面を被った方が穏やかに事が進む、誰も傷つかずに済む、そんなことを学んだ。

いつしか、仮面は剝がれなくなった。

仮面の表情や受け答えと、仮面の下の感情が一致しないことが出てきた。

仮面の下の自分が死んでいく気がした。

苦しい。それでも、仮面は剥がれない。

仮面を剝いでしまえば、この社会になじむことは

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暮らし

暮らし

都会は便利だけれど少し疲れる。電車の窓から外を眺めていると、所狭しとビル、居酒屋、家、コインパーキング、警察署、銭湯、クリーニング屋、、いろんな建物が目に入る。それぞれに人がいて生活している。道に目をやると、みんなどこかへ向かって歩いている。

冬のビルは暖房が効いていて暑い。冬なのに汗をかいた。そんな日はビールが飲みたくなる。最近お酒を飲んでいなかった。つい飲みすぎて体調が悪くなるから。でも久々

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春

私は春が嫌いだ。

今日は2024年2月13日。この時期にしては暖かく、3月下旬並みの気温だとのこと。

春の匂いがした。

菜の花が咲いていた。

春が嫌いだ。

細い三日月が 暗い夜に浮かんでいた。

夜の空気は冷たいけれど、風がなくて心地よい。

春が嫌いだ。

少しずつ日が長くなって、カーテン越しに朝日が差すようになった。

空が青かった。

春が嫌いだ。

春になると新しい服に身を包んだ

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