仮面
私は仮面を被っている。
いつ被り始めたのかははっきりと覚えていないが、二十歳前後だ。
仮面を被った方が穏やかに事が進む、誰も傷つかずに済む、そんなことを学んだ。
いつしか、仮面は剝がれなくなった。
仮面の表情や受け答えと、仮面の下の感情が一致しないことが出てきた。
仮面の下の自分が死んでいく気がした。
苦しい。それでも、仮面は剥がれない。
仮面を剝いでしまえば、この社会になじむことはできない。
そう思うと剝がす手に力が入らない。
仮面は剝がせないけれど、一体化することはない。
あくまでも仮面は仮面のままなのだ。
現状を打開しようとする強い意志がない限り、仮面はずっと私に貼り付き続けている。