【読書録】『温泉♨︎法則』石川理夫
今日ご紹介するのは、温泉ガールの私が愛読している一冊、『温泉♨︎法則』(集英社新書、2003年)。
著者は、温泉評論家の石川理夫氏。タイトルに、温泉マーク(「♨︎」)が使われているのがユニークだ。
少し前に、次の記事をアップした。
私が勉強した温泉の泉質や効能などについて、自分の備忘のためにまとめたものだ。
私は、温泉にハマるにつれて、訪問する温泉にどんな成分が入っており、どんな効果があるのかを知りたいと思うようになった。また、泉質の良い温泉と、そうでもない温泉の見分け方を知りたいと思うようになった。
そして、そのためには、温泉分析書が手掛かりになることを知り、温泉分析書を読めるようになりたいと思った。温泉ソムリエマスターの資格も取った。ネットや色々な温泉本に当たって勉強した。
そんな中、特に役に立ったのが本書だった。
本書は、「基礎編」と「応用編」の2部構成になっている。
まず、「基礎編」では、温泉についての知識を分かりやすくまとめてくれている。
たとえば、温泉の定義がダブルスタンダードであること(温泉法のほかに、鉱泉分析法指針がある)、泉質名のない温泉があること、泉質名が旧泉質名と新泉質名で大きく異なること、温泉分析書においてポイントとなる項目についてなどだ。これらの点は、一見複雑でとっつきにくいかもしれないが、一度理解してしまうと、温泉を深く楽しむのにとても役立つ。
また、源泉掛け流しではない循環湯や、殺菌などについての基礎知識や、循環ろ過の見分け方のヒントも伝授してくれる。このように、素人には少々難しい知識を、丁寧に噛み砕いて解説してくれており、非常に参考になった。
そして、「応用編」では、どういう温泉を選ぶと良いかについて、様々な切り口から解説してくれている。著者の温泉の知識を惜しみなく披露してくれており、大いに参考になる。それに、シンプルに、読んでいて楽しい。今すぐ著者お勧めの温泉に出かけたくなる。
日本では、バブル期などの温泉ブームを経て、全国的に温泉施設が乱立している。温泉のレベルは、はっきり言って、ピンキリ。しかし、本書の力を借りれば、誰でも本当に良い温泉施設を探せるようになるだろう。私も、本書にてオススメされている温泉を、一生かけて巡ってみたいと思っている。
温泉好きの方で、温泉をもっと深く知りたい方には、きっと楽しんでいただける一冊だ。
(※ひとつだけ要注意なのは、平成26(2014)年7月1日に「鉱泉分析法指針」が改訂されたが、この本では、その改訂による変更点がアップデートされていないことだ。その点を差し引いたとしても、この本のクオリティーは高く、オススメであることに変わりはないが、療養泉の種類などを正確に勉強されたい方は、ご留意ください。)
ご参考になれば幸いです!
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