もちぎさんの本「あたいと他の愛」を読んでほしい
もちぎさん、ご存知でしょうか。ツイッターで有名な方で、noteも書かれています。
ツイッターやnoteで発信されているのはエッセイ漫画やゲイ文化について。漫画連載多数、著書も何冊も出されています。
ゲイ文化や、ゲイバー時代についてはこの二冊が詳しかったです。さくっと楽しく読みたい方におすすめ。
上記二冊はコミックエッセイですが、もちぎさんの活字のみの「あたいと他の愛」もとてもよかったので、皆さんに読んで頂きたいと思い推薦します。(少し漫画や挿絵も入ってます)
ちなみにnoteに連載された記事の書籍化です。おめでとうございます!
毒親がいる方やLGBTs、生きづらさを感じている方、もしくはそういった人の心に寄り添いたい方には一層響くかもしれません。教育や福祉業界の方にもおすすめしたいです。
色々と大変だったのに周囲の友達や恩師に恵まれ、ご本人も努力をされて大学を出て、作家業を始めて本を出した現在までの半生。特に18歳までを詳しく振り返った一冊です。
コミックエッセイと同じ出来事の部分もありますが、文章になるとまた違った感覚で読めました。
学生時代の恩師との話、生きづらさを抱えている女友達の話、隠れゲイの友達との話、毒母親の話、強い実姉の話など、誰しもどこかに共感できるエピソードがあるかもしれません。
機能不全家族での生い立ちなど、家庭環境周りがかなりヘビー。ですが、起こっていることは深刻でも、もちぎさんのユーモアと軽妙さのある文章で暗くなりすぎず、とても読みやすいです。読者への配慮を感じました。
人生にあれだけのことがあっても、こんなに柔らかい言葉使いの優しい人柄になって、賢く冷静な分析ができるのは本当にすごいことです。
もし私に似たようなことが起きたなら、自暴自棄になってしまったり、人を傷つけてばかりになるかもしれません。よくなろうと努める、優しい文章にまとめて発表するのはとても困難だったと思います。
なぜもちぎさんがそうなれて、現在に至れたのか。本を読めば分かると思います。
今辛い最中にある読者も、彼の生き方に希望やヒントを見出せるのではないでしょうか。私も自分について顧みるきっかけになりました。
恩師が涙するところは私も思いきり泣いてしまいました。感動の読後感。人間賛歌も感じて素晴らしい本なので、少しでも興味があったら読んで頂きたいです。
文・イラスト/空乃さゆる(Twitter@sayurusky)
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