
スローフード宣言 ~食べることは生きること~ サンプル版 を読んで感じたこと
小野寺愛さんの投稿を見て応募した、『スローフード宣言』(アリス・ウォータース著)のサンプル本を手にすることができました。
読み終えた感想を綴ります。
自然農と出会うまで
森のようちえんやみんなの家な学園など、自然教育に関わる活動を入口に、自然農と出会い、オーガニックやスローフードに興味をもちました。
以前のわたしは、ファーストフード文化のど真ん中で生きていました。
昔、ご近所のかたに畑で採れた大きなかぼちゃを頂いたことがありました。
当時のわたしは、「こんなに大きなかぼちゃもらっても困るんですけど」「家族がかぼちゃを食べないんですけど」と、怒りさえ感じていたのです。
日々の食事をどうしていくか、いかに早くこなすかで精一杯だったので、いただいたかぼちゃを楽しむ余裕はありませんでした。
スーパーなら、必要な量やカットしてあるものを簡単に購入できます。
食べきれずに捨てることもなく、それが“安心”と感じていました。
そんなわたしが、種から育てたかぼちゃを収穫して、どう食べようかとワクワクしています。
無農薬栽培で作った野菜を“安心”して食べられる喜びを感じています。

かけているめがねによって、見え方も捉え方も大きく変わるということを実感しています。
ファーストフード文化とは

ファーストフードという言葉を聞くと、ハンバーガーやポテトなどを思い浮かべると思いますが、著者アリスさんはもっと大きな視点でとらえています。
ここで言うファーストフードとは、マクドナルドやピザハット、サブウェイなど、店舗で出すものだけではありません。
私は、農薬や除草剤を使い、大量生産され、添加物や保存料で加工された食べ物はすべてファーストフードであると捉えています。
ドラッグストアの棚に並ぶ食べ物、コンビニで買うもの、便利な宅配アプリで注文して玄関先まで届く食べものも、同じかもしれません。
便利であること
いつでも同じ
あるのがあたりまえ
広告への信頼
安さが一番
多いほどいい
スピード
ひとつひとつの章を読みながら、過去に大事にしたかったものを味わっていました。
だからといって、当時の自分を責める気持ちはまったくありません。
今もファーストフードを選択するときもあります。
ファーストフードは悪ではなく、ひとつの選択肢だとしたら、どちらを選びたいか、なにを大事にしたいかを考える時間や知識をもてることが大事なのだと感じます。
スローフード文化とは

今、大事にしたいと感じている『循環』や『自然の一部であること』について、分かりやすく書かれていました。
美しさ
生物多様性
季節を感じること
預かる責任
働く喜び
シンプルであること
生かしあうつながり
目次を見ただけで、胸が熱くなるくらい大事にしたいキーワードでいっぱいでした。
心に残った一文です。
世界の反対側や工業化された温室で育った二級品の果物や野菜を一年中食べていたら、最も熟して美味しい季節になってもありがたさが分からなくなります。
何も考えずに食べ続け、旬が来る頃にはすでに飽きてしまうのです。
「あるのが当たりまえ」から抜け出すことは、制約ではありません。
その正反対です。
凡庸を手放し、自由になることなのです。
いつでも食べられる安心感は、変化への恐れを生み出していきます。
移ろうことが自然なのだから、移ろいを感じて楽しめるための一歩は、旬のもの、地のものを味わうことかもしれません。
価値観を変えるために
価値観のかけ替えのきっかけは、自然環境への危機感、本当の健康への憧れなど、なんでもいいと思うのです。
大事なのは、どうしてそれを大事にしたいのかということに自覚的であるということだと思います。
誰かに言われたから、勧められたから、何となく…で始めた場合、目の前に大きく広がるファーストフード文化からは抜けられず、抜けられない自分を責めたりするかもしれません。
例えば食べ物を味わうために何十回噛む、というやり方を健康のためにはじめたとしても、続かないと思うのです。
〇〇でなければならないことって、苦しいですよね。
なにを大事にしたいのかを自分と相談しながら、目の前のことひとつひとつを選択していけば、食に関する意識は自然と変わっていきます。
自分に向き合う時間をもつことで、心にスペースができると新しい価値観が入り込む隙間ができます。
このサンプル本に出逢えたことも、偶然ではなく今のタイミングでわたしに必然なのだと感じています。
いただいたサンプル本をメッセージとともに手渡したり、一緒に読む機会などを作りながら『食べることは生きること』に関して対話できる時間を作っていきたいと思います。

サンプルを熱い思いで発送して下さった海士の風の方々、小野寺愛さん、どうもありがとうございました。
アリス・ウォータースの新著『スローフード宣言--食べることは生きること』のAmazon予約がはじまりました。
表紙も素敵です。
アリス・ウォータースさんが創始者、オーナーでもあるレストラン「シェ・パニーズ」に関する記事です。