大丈夫なように ふるまってしまう
職場でのストレスをかかえ
カウンセリングにお越しになっている方々は
少しずつ、心の状態が安定し
体調なども改善してくると
職場復帰を目指したり
元の生活を取り戻そうと努力される。
ケースにもよるけれど
改善された時期がやってくると
カウンセラーとして
職場や上司の方へ連絡し
最善の注意と配慮をお願いした上で
現場に戻るためのサポートを
会社と連携を取ってスタートしている。
スモールステップを作り
復帰に向けてのプログラムを
進めている時は
「リハビリ期間」と同じ。
もし、ひどい骨折をし
足を痛めて歩けない期間があったなら
治療中に足を使わなかったことで
筋肉も衰えているだろうし
ベットで寝ていたなら
起き上がって生活することだけでも
元の生活を取り戻すのに
リハビリ期間は必要で
起き上がる時に
ふらつきがあるかもしれない。
怪我をする以前より
疲れやすい体の状態が続くかもしれない。
怪我なら目に見える。
ギブスや松葉づえや車いすが
目に見える。
でも、心の調子を崩すと
その心の中は周りの人には
見えなくて、とても理解されにくい。
職場復帰しようとする本人は
前のように「できるようになりたい」と
心から願っているし
周りのみんなに
「心配かけたくない」と思っている。
もしくは、今まで休んでいた分
職場に「迷惑をかけていた」という
負い目もある。
久しぶりに出勤した職場で
頑張って、無理をして
大丈夫ではない自分ではなく
大丈夫な自分になろうと
必死に努力している。
その様子を見た職場の人は上司は
「もう大丈夫なんだ」
「なおったんだ」
なんて、目に見えるもので簡単に判断し
最善の注意と配慮を
お願いしたのにも関わらず、
休む前と同じような業務内容や
他の人と変わらない仕事の仕方で
本人に関わってしまう。
本人は、
「やっぱりダメだ」と思われなくない
「迷惑かけたくない」と
思っているんだから
頑張る。
本当は、まだ頑張れない時で
「今は、リハビリ期間だ」って
カウンセリングで伝えて
復帰したはずなのに
頑張る。
復帰した直後に
「できる」と思っていたのに
また、調子を崩して
体調も悪くなり
プレッシャーに押しつぶされて
無理がきかない状態になってしまうと
気づいた時には
復帰したことを後悔し
「やっぱり、無理なんだ」と落ち込み
自己を否定する気持ちで
いっぱいになり
復帰前の状態にもどってしまう。
もしくは、前よりも悪くなってしまう。
その時、自信を無くしたことを
取り戻すには、
もともと悪くなった時よりも
倍以上の時間がかかってしまう。
どうして、周りは
もう少し見守ってくれなかったんだろう。
大丈夫?って声をかけられたら
大丈夫って言うに決まっている。
大丈夫?って言葉は
上司が安心したくて
大丈夫だって安心したくて
部下にかける言葉のような気がして仕方がない。
「大丈夫」とは次のような意味
(コトバンク『大辞泉』より)
1 あぶなげがなく安心できるさま。強くてしっかりしているさま。「地震にも大丈夫なようにできている」「食べても大丈夫ですか」「病人はもう大丈夫だ」
2 まちがいがなくて確かなさま。「時間は大丈夫ですか」「大丈夫だ、今度はうまくいくよ」
怪我のリハビリ期間中に
「大丈夫?」って言うだろうか?
「無理はしないでよ」って言わないだろうか?
上司や先輩が
「休憩取っておいでよ」
と声をかけたら、
本人は
「大丈夫です」って、なんで言うのか?
その真意を考えてあげて欲しい。
「休憩取らないと
また調子崩すといけないから
休憩は取っておいでよ」
って、先輩に言ってもらえたら
本人は、休憩に行けるのに。
その10分の休憩で
無理しちゃダメなんだ。
無理しなくていい。って
みんな想ってくれているんだって
焦っちゃダメだって、
自分に言い聴かせて
自分を取り戻せるのに・・・。
久しぶりに復帰した職場で
みんなと同じように働いたら
働いてしまったら
とても、とても疲れてしまう。
久しぶりの職場で
疲れてしまうのは
当たり前のことなのに
こんなに疲れてしまう自分は
やはり、元の職場は無理なのかも?って
考え始めてしまう。
復帰プログラムが
「できる」という
自信をつけさせるもののはずが
「できない」かも、
「やっぱり無理かもしれない」と
思わせる期間になってしまう。
先輩の皆さんにお願いしたい。
焦らないで見守って欲しい。
今、焦らなくても、本人は
少しずつ、変わろうとしているから。
苦しかった長いトンネルから
自分で光を見つけて
歩き出そうとしているけれど
まだ、トンネルは抜けていない状態だということ
目には見えないけれど
身体中、まだ、ギブスがついていること。
想像してみて欲しい。
ギブスたくさんついている人に
「自分たちと同じ速度で歩け」って言いますか?
仕事に行けなくなったこと
働けなくなったこと
これだけで、もう充分すぎるくらい
自分を責めている。
自己肯定感は下がっている。
これ以上
自分のことを責めさせないで欲しい。
復帰した時ほど
最善の注意と配慮と
もう悪くならないようにするための
予防的なサポートが必要。
また、気持ちが
落ちてしまいそうになる
原因因子を作らないで欲しい。
休憩しておいで。
休んでも大丈夫だよ。
って、声かけをお願いしたい。