言ってしまった言葉の後悔
カウンセリングルームにて
クライエントさん(Bさん)の相談
仕事のパートナーに対して
ひどいことを言ってしまった
たぶん、次のプロジェクトから
自分は外されてしまうだろう
彼(Aさん)の人間性まで否定することを言った。
きっと、彼は私に失望し
私のことを嫌いになったと思う
Bさんは、落ち込み
全てを悔やみ、自分の人生まで
大きく変わってしまうかもしれないという
恐怖に悩んでいた。
Bさんが、Aさんに言ってはいけないことを
言ってしまった・・・と後悔している言葉 ↓
(1)
新しく雇ったCさんの採用は
過ちだったと思います。
きっと、こんな採用を繰り返していたら
このミスを何度も繰り返すでしょう。
今は、時間が惜しいので
このことについて話し合っていることも無駄ですし
責任を持って管理できる人を
新たな人員として迎えるべきです
自分が、このセリフに辿り着いた
(結論に達した)ことを相手に伝えずに
この答えを出したことについて
プロセスも伝えずに
「最終結論」から話す話し方は
誤解を生みやすいと思う。
(⇒男性に多いと思う)
なぜ、自分がそう思ったのか?を
相手に伝えることは
時間の無駄ではなく大切なこと。
「相手を傷つけた」と
後悔するに至った言葉を
Bさんは、一語一句覚えていた。
それ位、考えて考えて、
伝えた言葉だったのだが、この言葉を伝えた瞬間に
Bさんには、Aさんの
「心が閉じた」ことが分かったという。
パートナーのAさんも、いろいろなことを考えて
最善を尽くそうと思い取り組んでいることを
あなたには経営者としての
管理能力がないと表現するような
内容を伝えたこと、
話しているうちに
Aさんの顔色が変わっていくのに
自分の言葉を止められず、
そのまま最後まで伝えてしまった。
Aさんが傷ついていることを
感じていながら伝えてしまったと。
この言葉が、
なぜ、こんなに強く聞こえるか?
それは「主語」の問題です。
(2)
あなたが新しく雇った
Cさんの採用は過ちだったと思います。
きっと、あなたはこんな採用を繰り返していたら
あなたは、このミスを何度も繰り返すでしょう。
今は、時間が惜しいのでこのことについて
話し合っていることも無駄ですし
あなたは責任を持って
管理できる人を新たな人員として迎えるべきです
このセリフ(言葉)には、
「あなたがこうしたほうが良い」という
最初の(1)だけを聞くと分かりにくいですが
実は(1)には、いたるところに
「あなた(You)」という主語が隠されている。
⇒ 「Youメッセージ」で相手に伝えている。
伝えたいことの真意と事実は
「スケジュール管理ができないような人を
雇ったことは大きな間違えで、
今の段階であのポストの役割を
担う人はいない」ということが
伝えたかったのに、
「経営者の能力不足」を伝えている印象
=感情になっている。
事実は、新しく雇ったCさんが
スケジュール管理ができず、
今の自分達の会社では、
力を発揮しない人材であるという事実。
現段階で、人を採用する時に
会社に明確な採用基準がなく
「何となく良い人だから・・・」と
採用してしまっているという事実。
こんなことが問題であるはずなのに
結論から話し「感情」で伝えていることが
コミュニケーション不全を起こす
結果に繋がっていると思う。
先程のセリフに
少し加えた形で話してみてはどうだろうか?
(3)
私は、ずっと考えてきたんですが
新しく雇ったCさんの採用は
私は過ちだったと思います。
きっと、私たちの会社は、
こんな採用を繰り返していたら
このミスを何度も繰り返すでしょう。
今は、時間が惜しいので
このことについて話し合っていることも
私は、時間がもったいないと思いますので
今後、責任を持って管理できる人を
新たな人員として迎えるべきだと私は思います
同じセリフでも
(1)(2)(3)と印象が違うはずです。
(3)は「私は〇〇と思う」という
「I (私は)」 の主語を入れています。
・「I メッセージ」に変えて
同じセリフを伝えることと
・相手がマイナスに感じる、
「きつい言葉」を変換させて伝えるだけで
相手が耳に入れやすい、
聞き入れやすい表現に変わります。
日本語は、主語が消えてしまう言語です。
「言わなくても分かるはず」
「これくらいのこと伝わるはず」
という単一民族国家の特性が
相手の価値観を理解したり
相手を分かろうとする努力を怠ることにつながり
これくらい「わかるだろう」という「甘さ」が、
大きなコミュニケーション不全を起こします。
伝える時に
① 事実と感情を分けて伝える
② なぜその結論に至ったかの経緯をきちんと伝える。
③ 結論から先に伝えない
④ Youメッセージになってないか?確認する
⑤ Iメッセージで伝えるように努力する
⑥ 大切なことは「私は〇〇と思う」と伝える。
なぜ、その言葉を使ったのか?
なぜ、そのように思うのか?
このなぜを伝えず、相手に理解してもらおうと思っても
相手は、理解できないのです。
人は、お互いに「わからない」ものである
ということからのスタート
「わかりあえる」ことが当たり前ではなく
「わかりあえる」ことは、奇跡なのです。
相手の状態を観察し
今、このことを伝えてもいいタイミングなのか?
この表現方法で伝わるのか?
少し立ち止まって吟味することが
その後の大きな問題を未然に防ぐことになり
その時間は、後から問題になった時に
修復するために使う時間の方が
より時間がかかること。
また、メールやLINEで
大事なことを伝えると
大きな誤解を生むことが多く
その修正に新たな時間を使っていては
それこそが業務の負荷になっていく。
メールやLINEは
特に、主語を入れたほうが良いと思う。
なるべく、Iメッセージで。
そのほうが
あなたの想いが必ず相手に伝わる。
小さなことを問題にしない。
問題を創ることで、そのことが「問題」になるのです。
「問題を問題にしない」ことも とても重要。
コミュニケーションの誤解によって
苦しむ方が多い最近の状況を感じ
主語を入れることや伝え方の工夫で
相手との関係性や伝わり方が変わる。
カウンセリングの中で
コミュニケーションの技術を
クライエントさんに身につけて頂き
幸せと笑顔が守られる毎日を
送って欲しいと切に願っています。