続 男と女に友情って、あるの #きわどいはなし
心が平坦になりました。
この数か月、久々に胸を焦がす事態になりまして。
その反面、かつての記憶が蘇って不眠症にもなりました。
もう30年以上もの間、付かず離れずの距離を保ってきた佳い女性がいて。
彼女に対しては性差を超えた、友情と恋愛の狭間にある感情を抱いていました。
そんな彼女が、つい弱音を口にして。
それで私の心に火がついてしまった。
人生の締め括りを、彼女と越えようと思った。
それでぎこちなく高校生のような恋愛から始めたけど。
色々と試してみたけれど。お互いに違和感が拭えない。
どうしてここまで友情が続いたんだと思う?
これまでちゃんと寝ていないからだ。
そうね。そうよね。
あんなことをしてあげたのにね。
ふふ。
自殺願望に駆られていた彼女と、個室温泉を借りて、湯舟のなかで肌を合わせて励まして。涙を胸で受け止めて。それでも抱くことはしなかった。
あれを大事にしていかない?
そうだね、とその言葉がすとんと胸に落ちた。
私も少し畏れていて。
妻との間には年数が経つうちに、言葉を配慮で包むことなくなった。お互いが鋭い刃を交わすような、遠慮のないやり取りになった。
それを繰り返すのを怖いと思った。
わかった。
じゃあ生涯をかけて親友を続けていこうか。
そうね。大人のkissはさっきので終わりね。
けれどこの数か月、彼女のくれた宝物がある。離婚してから凍えてしまった感情が溶けてきている。
不思議と、その夜からは眠れるようになった。