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最近読んだ小説3冊『かがみのもり』『妖精配給会社』『ふたつめの庭』

先日書いたnote記事のとおり、このごろ毎日小説本を読んでいます。

最近読んだ3冊はこちら。

  • 『かがみのもり』(大崎梢)

  • 『妖精配給会社』(星新一)

  • 『ふたつめの庭』(大崎梢)

以下はネタバレありの読書感想文とも呼べぬ感想メモです。





『かがみのもり』(大崎梢 2011年)

中学の新米教師が主人公で、裏山にあるという謎の「お宮」と「オオカミの像」を巡った冒険もの。
中学生の子どもたち、君の悪い新興宗教団体、そして興信所の人間と名乗る謎の男などが登場し、それぞれが思惑を持って、神社の「お宮」に迫っていきます。
読み口はけっこうサラッとしている感じ。そこまで深みは感じず。
個人的には『片耳うさぎ』のほうが面白かったかな。

『妖精配給会社』(星新一 1964年)

知り合いに「星新一大好き!星新一ばっかり読んでる!」という人がおり、影響されて買ってみた1冊。
星新一はあまり読んだことがなかったのですが、めちゃくちゃ面白いですね。
ジャンルとしては「SF・ホラー・ファンタジー」に分類されるそうですが、1つ1つは短いのに読んだ後にゾッとさせられる感じや、どこか虚しさを感じさせるラストは見事としかいいようがないです。

そして、初版出版年が1964年というのにもびっくりです。
昭和39年、何があったかなと思ったら東京オリンピックの年であり、東海道新幹線が開通し、家庭用VTRが発売開始された年だそうです。
しかし、「この本は2000年くらいに出版されましたよー」といわれても信じてしまいそうです。
SF作品はたいてい未来を舞台にしていることが多いので、古典の名著を読んでもそこまで「古い」と感じることは少ないのですが、星新一もその例に漏れません。

というか、なんでこんなにたくさんの物語のアイデアが思いつくんでしょう。
ショートショートは文量こそ短いけども、1つ1つが独立した物語ですから、ある意味では長編を1つ書くよりも大量のアイデアが必要になるわけです。
星新一は天才か? そうか、天才だったな。
ただ、星新一氏ご本人も、小説を書く場合は相当苦労していたようですが…そういうエピソードを知ると「この人も同じ人間だったんだな」と知って嬉しくなりますね、ハイ。

『ふたつめの庭』(大崎梢 2013年)

保育園が舞台、保育士が主人公の恋愛小説。
というか、読んでいくうちに恋愛小説だとわかりました。
幼い子どもたちと保護者と保育士たちのあいだで日々起こるさまざまな出来事に「絵本」がキーワードとして絡み、それぞれの人間模様を描き出す感じです。
悩みを抱える子どもたち、そして大人たちに真摯に向き合う主人公がすてきです。
読むうちに、次第に「子どもがいる親であろうが、エゴや欲望を持つ独立した個々の人間である」「親も完璧じゃない」といった感想が浮かび、それにイライラしたりガッカリしたりするのですが、理想的ではない等身大の人間を描いているということなのかもしれません。
こちらも文章はさらりと軽い読み口で、それがこの作者さんの特徴なのかなと思いました。


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