長く伸びた道の先 #17杯目
樋口先輩と小川先輩が卒業し、一人で帰ることが多くなった。
大きな国道を避け、田んぼの畦道に入る。長くまっすぐな道に車は通らない。
自転車を止め、大きく伸びをしたあと、ウォークマンのカセットテープを入れ替える。先輩たちが残してくれた、ローリングストーンズの「ホンキー・トンク・ウィメン」のカウベルが鳴る。
さあここからはフリーウェイだ。ハンドルを握り直して、目線を道の先端に向ける。すると視界に自転車をこぐ同じクラスの中村の背中が入ってきた。高一のときから同じクラスだったが特に