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きん色の窓とピーター
以前、「暮らしの手帖と祖母」と言うタイトルでノートに日記を書いた。
その日記はこう始まる。
「ある時探し物をしていて、実家から持ち帰った段ボールを開けると、小さい時によく見ていた藤城清治の影絵の絵本を見つけた。」
今回は、この懐かしい影絵の絵本の話しがしたい。
探し物をしていて、ふと、開けた箱に入っていたのは、年季の入った2冊の本。
「きん色の窓とピーター」
「ロンドン橋でひろった夢」
それは、小さい時に母によく読んでもらった本だった。
暮しの手帖社が出版したこの本には、世界中のおはなしが15話ずつほどあり、絵は影絵作家の藤城清治さんが手がけている。
ついつい探し物そっちのけで、この本を開いた。
当時の記憶がよみがえる。当時、ろくに字が読めないのに、引き込まれるように絵を見ていた。影絵の黒に鮮やかな配色がキレイで何度も開いてはパラパラと絵だけを見ていた。
思い出と同時に、全てのお話を読んでもらったわけではなく、実際知らないお話の方が多いとことにも気づいた。
改めて私は、「ちゃんとこの本を読んでみたい。」と思い、読み始めた。
うごかなかった柳の木 日本の昔話より
チューリップのゆりかご イングランドの民話
レチカとお月様 シベリアの昔話
うぐいす姫 日本の昔話
ストーリーはすすみ、美しい影絵のおはなしの世界へ誘われていく。
柳の木の精のはかない恋物語。。。
おばあさんの育てるチューリップ畑の見事なこと🌷。。。
不思議なたんすの引き出しを開けると、せっせとカブの収穫をしている
こびとたちの可愛らしいこと。。。❤︎
レチカの住む所には七色のオーロラが見えるんだね〜〜キレイだね〜。。。
藤城さんの影絵で描かれた日本、ロシア、ギリシャ、インド、中国、ヨーロッパと世界中の物語の旅をしたような気分。
影絵の黒と鮮やかな配色の美しいコントラスト、登場人物たちの表情にもひき込まれ、改めて、なんて美しい本なのだろうと感動した。
以前図書館で自分の生まれ年、1978年の暮らしの手帖を借りた事がある。
可愛らしいグリーンのワンピースを着た女の子の表紙だった。
かわいいな〜と表紙を眺めていたらすみの方にSeiji Fujiとのサイン。
「わぁ!藤城清治さんじゃない?!」
いろいろ調べてみると、藤城さんは1978年からの8年間、暮しの手帖の表紙を描いていた。花森安治さんの素晴らしい表紙絵の後を引き継いだのは、藤城清治さんだったんだ。 影絵作品しか知らなかった私は、驚きと共に藤城さんの新たな面を知れて嬉しくなった。
何十年ぶりに手に取った藤城さんの絵本きっかけに、藤城清治さんのことを改めて知る事が出来た。
この2冊の年季の入った絵本を、きちんと本棚に入れ大切にしていきたい。