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職場に多様性を取り入れることによって、具体的にどのようなメリットがあるのか

最近テレビやネットでも多様性について語られることが増えてきました。特に、日本ではジェンダーの視点から語られることが多いようです。長年、男性管理職が大多数を占めてきた日本企業の中には、女性管理職比率をKPIに設定し、中長期の目標値を公表しているところもあります。

ところで、多様性ってどんな利点があるの?
具体的に自分たちにどんな良いことがあるの?

このような疑問のある方もいらっしゃると思います。

今日は、自身の過去の会社員時代の経験をもとに多様性の利点についてお話ししたいと思います。自分は大学卒業後、日本企業に数年勤めたのち、社会人留学を経て大手米系企業に転職し20年以上をそこで過ごしました。その時の経験から得た多様性についての学びを共有します。


目次
1.女性視点
2.異文化視点
3.まとめ

1.女性視点

30代前半から米系企業に20年ほど勤めましたが、この会社では男女間における雇用条件の違いはほとんど感じませんでした。採用、評価、昇進、降格、解雇など、これらの基準は各自の「業績」でした。会社は結果を出したかどうかで社員の処遇を決める、極めて公正な資本主義のルールに従って、運営されています。

そのようなフェアな環境が女性社員を惹きつけているのでしょう。日本企業に比べると圧倒的に女性比率が高かったです。私は財務部門におりましたが、上司、同僚、部下の360度、全てが女性という時期もありました。

私自身、女性に囲まれて働くことに全く違和感は感じず、むしろ、かなり助けられました。

例えば、社内の他部門向けの財務に関するプレゼン資料を作っていたところ、女性上司と同僚から親切なアドバイスが入りました。「うーん、グラフの色、もうちょっと明るいソフトな色の方がいいかな。パステルカラーどう?」「フォント、もうちょっとカジュアルな感じにしない?」

まったく予期せぬ角度からのアドバイスに私は当初びっくりしました。しかし、実際資料を彼らのアドバイスに基づいて変えてみて、なるほどと納得しました。

当時の私は経営陣や株主向けの資料を作ることが多く、黒、赤、青といった強めのはっきりした色を使う傾向にありました。私は「他部門向け」の資料を作成していたにも関わらず、「堅い」色合いの資料を作っていたのです。彼女たちに言われなかったら、おっさん一人ではペパーミントグリーンを使った柔らかい雰囲気のグラフなんて、作れなかっただろうと思います。

おかげで「財務」というお堅い話題のグラフもソフトな感じになりました。フォントについても、同僚の女性の指摘どおり、少し砕けた感じの手書き風のものにしたところ、親近感のある資料になりました。プレゼン後に、社内の他部門の方たち、それも女性だけでなく、男性にも、またベテランにも若手にも好評で「財務部門を見る目が変わった」と言っていただけて嬉しかったのを覚えています。

男目線だけで資料を作っていたら、もっとお堅い「経費管理」の資料になっていたと思います。もしかすると、他部門から反発さえ生まれたかもしれません。

この経験から、男性には見えないものがあり、女性とチームを組むことで、お互いの気づかないものを補完し、完成度の高い仕事ができることを学びました。

2.異文化視点

典型的なアメリカ企業の日本支社に勤務していたため、上司、同僚、部下にも外国の人がいました。

アメリカ、イギリスのアングロサクソン系、
ヨーロッパ、南米からのラテン系、
そして日本、韓国、中国からのアジア系。

各自の経済、文化、歴史的背景が違うため、問題に直面し、解決策を探る際にも意見が分かれます。若い頃は私も血気盛んだったので、意見の違いから口論になる時もありました。でも年数を経て経験とともに、役職も上がり、多様な人種から生まれる多様な意見は、利点が多いことが徐々にわかってきました。

例えば、出身国の背景によって、重要視する点が異なるため、あらゆる角度からものごとをチェックできるのです。

私が個人的に認識した各人種の特徴のー例です。

アメリカ人などアングロサクソン系
原理原則に忠実。株主価値の最大化、会社の方針、契約書に準拠した行動を心がける。

ブラジルなど南米系
交渉力を駆使。政治、経済の混乱に慣れており、法律やルール不在の事象が起きた場合は、交渉力で自社にとって優位な立場を勝ち取る。

日本人、中国人などアジア系
調和を重視。顧客、サプライヤー、株主、関係機関とはなるべく争わず、長期的に良好な関係を築く。

個人的には、2020年のコロナ禍に、多国籍チームで働いてるメリットを強く感じました。特に緊急事態宣言が出て、会社がビジネスの機会を大幅に奪われた時にそう感じました。

ラテン系の社員は「日本人はあまりこのような大きな危機に直面しないけど、南米なんてこんなのいくらでもあるんだよね。政治や経済の混乱でハイパーインフレが起きて、物の値段が1ヶ月で倍になったり。混乱に乗じて税制も頻繁に変わるしね。」と慌てる様子もなく落ち着いてます。淡々と顧客、広告代理店などのサプライヤー、政府機関との注文の変更やキャンセルのための交渉の準備を始めています。

アメリカ人は契約書を確認しながらこちらに賠償責任は無いか、相手に賠償請求できるかなど、細かく法務部門とチェックをはじめます。

日本人の我々は、顧客やサプライヤー、政府機関と今後交渉しながらも、長期的に良好な関係を保てるように細心の注意を払います。

また、自分たちのビジネス上の立場を守るのと同時に、大企業として社会的に貢献する責任があるため、多国籍チームで政府機関や民間への寄付の準備を進めたりもしました。

このコロナ禍の経験から、多国籍チームの持つ、多様な視点からのアイディアやチェックにより、短期間で膨大な量の交渉や新たな社会活動が可能になったと感じました。

3.まとめ

私の個人的な経験からの学びでしたが、多様性の具体的な利点をご理解いただけたでしょうか。多様な背景から多様な視点、多様な意見が生まれます。時には意見の相違から摩擦が起きることもありますが、お互いに死角になっている部分を補完し合うことにもなります。

ぜひ、多様性のある環境で違いを楽しんでくださいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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