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朝井リョウ『スター』に3回以上揺さぶられる

芯のある考え方を持たずに生きているので、本を読むとすぐに感化されます。ちなみに、友達と喋るとその喋り方が移る、好みや趣味をコミュニティーの中で探してしまうなどの流されやすさがあります。

そんな私が読むと、朝井リョウの『スター』は何度もコロコロ考え方を行ったり来たりさせられます。テニスの打ち合いのように応酬するのではなく、ゲートボールのようにあっちこっちへ打たれます。

映画監督を目指す2人の青年がそれぞれ全く違う方向で活躍していくストーリーです。それぞれのベクトルに対して悩んだり、相手の芝が青く見えたり、世の中の流れに葛藤したりしながらお互い模索していきます。

彼らの周囲の人たちがそれぞれの観点から説教をする場面が多く、その内容はまさに著者の考えなのでしょうが、そのたびにスティックで叩かれて別の方に転がされる感覚があります。


レビューには「映画やYouTubeなどの映像に関わる人におすすめ」とありますが、そうじゃないなあと思いました。私自身、映画とYouTubeは全然馴染みがないのですが、めちゃくちゃ考えさせられたので。むしろ、映像との関わりが深い人が読むと別の読み方をしていって、良くも悪くも細かいところにも気を取られるのではないでしょうか。


過去に『桐島、部活やめるってよ』や『何者』も読みましたが、それらに比べるともっと分かりやすい。あと、珍しく後味が良いです。


早く『正欲』読みたいなー。


余談ですが、朝井リョウさんはハロオタらしく、アイドルについての作品も書いてます。次はこれを読んでみようかと思います。なんとなく、スッキリしない展開なんだろうな。。。


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