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ゆきとシオン

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私たちは再会を何度も繰り返す。 sarajyaの写真とシオンの言葉
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記事一覧

べき・・は足元をふらつかせる。

君に知っててほしい。 今君の目の前に広がる世界が、世界なんだ。 君が感じるざらつきや君の鼻腔をつく空気の冷たさ、それが世界なんだ。 君の目に映る緑。 君の手に握る石の尖り。 君の頬に迫ってくる粉雪の舞い。 君の足の指先に残る砂のまとわり。 それが君の世界なんだ。 どうあるべきだとか、どれがフツーだとか、そんなことはすぐに、そして簡単に崩れる。 脆いものなんだよ。 君が君の世界の中心にいて、君がつむぐ物語が君の世界。 だから。 君はそれを確信しなくちゃいけない。 君

サンサーラ

渇いた心に言葉は宿らない。 宿れなかった言葉たちは、肉体の表層をつたって土へと還る。 言葉にならなかった言葉は心に留まることもせず、口に昇ることも許されず。 何事も。 何も。 起こらなかったかのように静かに、ただ静かに。 冷たく、鈍く、私の上っ面を撫でてく。 無意識のうちに湧いた言葉は人のうちに在って、表層を伝い落ちるその瞬間までなお力を欲しがる。 ただ僅かばかりの指先のぬくみ。 ただ一息ばかりのすれ違いですら。 言葉はその刹那をこの機かぎりと宿るため、爪を立てる。

Reunion.

あなたとの再会。 割れた空が1つになった。 無くなったパズルのピースがパチリと音を立ててはまった。 やがてパズルは風を含んで立ち上がり、僕をまるまま包み込んだ。 そして。 懐かしむように、慈しむように完全となった僕の世界に、ひどく安堵した。 そして深い息をして。 柔らかな光に包まれて。 許されたことに心の底から感謝したんだ。 あの日のこと。 そしてこれからも繰り返す再会。 .......................................... コトバ シ

今日

君自身が 今日生きることを決める。 君自身が どう生きるかを決める。 大したことじゃないんだ。 何が好きだとか、 何が嬉しいだとか、 何が悲しいだとか、 何が 何が守りたいだとか。 そんなこと。 君が決めることが、君を始めることなんだ。 それが今日、今を生きることなんだ。 ________________________ コトバ シオン 写真 ゆき

y

君に。 ツヨクナレと祈る。 私に。 ツヨクアレと願う。 チガウチガウ。 君よ、ツヨクアレ。 私よ、ツヨクナレ。 ごめんなさい。 君をツヨクさせてしまって。

so

美しいものを美しいと感じる私がいて。 時に美しさが悲しさになることを知った私は、当たり前のように心に浮かぶ「美しい」という心の有り様に、生きているという、実感と、そう、いのちというものを自分自身の中で確信する。 シオン

これ ほどに。

夢の続きを見るには覚醒しすぎてて。 夢のはじめから辿るなんて途方に暮れそうで。 目に映るもの、それだけで。 それだけで心透かされて満たされる、そんな心地よさを、こんなにも、こんなにも欲してるのに。 私はその先の、どこか、何かへと心の導線を延ばし、それをどこに繋げたらいいのかなんてこともわからずに、延ばし、もうその先端がどこへ向かってるのか、どこにあるのかもわからず。 そして焦燥感に襲われる。 そんな自分を「イタイナ」なんて思いながら、結局目の前に映る今日この景色に救わ

虚空の先に・・

遠い昔にも見ただろう景色がゆっくりと目に映る。 きっと見たはずの花や空はどんなだったのか。 今。花弁の薄さを透かし見、蒸せかえるように立ち並んだ青い芽の中、今私は一人立つ。 美しい。 どこを見ても目映いばかり。 美しいと感じてしまった心に気づいてしまって、否定できない空の明るさやひらけた視界に気づいてしまって。 せめて目に写る景色が灰色に見えたなら。 立ち並ぶ花たちがただそこにある、というだけならば。 美しさが染み入ることがこんなにも愛しく、こんなにも苦しく。 ど

シリウス

あれから、考えてみたんだ。 僕たちのいう世界のこと。 とても大切なことだから。 僕たちは、この世に生まれたんじゃないんだ。 確かにこの星はずっとずっと前からあって僕たちがここにいのちをもらったことは確かだけれど。 僕たちはこの世界に組み込まれた訳じゃないんだ。 僕たちの全てを使って感じているものこそが世界なんだ。 うまく言えなくてごめんよ。 僕たちの世界は僕たち、君なら君の作り得るものでしかあり得ないんだ。 僕には僕の作る世界じゃない世界は存在し得ないんだ。 世界

声なき声

声なき声は この上なく おおくを語る この世のどんな言葉より ふんだんに装飾された詩より 全てわかったような偉そうな論文より 声にならない声 これこそが ヒトであり、たましいというもの 言葉はシオン 写真はゆき http://sarajya.wix.com/sarajya

君はどこだかか美しい景色を見てたけど、僕は君を見ていたんだ。

君の小さな予定。 君の気まぐれな寄り道。 君はどこだかか美しい景色を見てたけど、僕は君を見ていたよ。 真っ直ぐに臨む目を。 景色に心動かされて紅潮した頬を。 そして静かに静かに君の心が弾ける音を僕は聞いたんだ。 大切な人。 どうぞ君の好きなように生きてほしい。 君の思うままに。 信じるままに。 なんでもいい、感じるままに。 その歩みを確かめながら、生きてほしい。 僕は僕で君を見て、僕を確信し、そして人が生きるってなんて美しいんだろうと心からそう思ってるんだ。   僕たちのかた

恋花

 行くこともないだろう異国の山合いの集落で。 娘たちがまだ知らぬ恋の歌を唄っている。 茶葉を一片ずつを指にとり、撚って、小さな塊にして。 彼女たちが行くこともないだろう異国のとあるテーブルの上。 娘たちが恋を知った頃、静かに大きな花を咲かせている。 芳しい香りを放って、娘たちの喜びを伝え、永遠に逢うこともないわたしを慰める。 だから大抵。 わたしは開いた花に娘たちの幼い恋を思い、冷める頃まで飲めないでいるのだ。

お菓子たち

色とりどりのジェリビーンズは舌を緑をしてしまう。 木に飾られたジンジャークッキーは硬くてボソボソで食べられたものじゃない。 子どもが作る定番のレモネードは種が浮いてるし、蜂蜜がとけないままで、ぬるくて飲めたもんじゃない。 イースターのエッグはいつも本当に食べても大丈夫なのか、心配になっちゃう。 お祭りのべっこう飴は、色んな形してるけど、どれも同じ味で。 きっとあのネズミたちが作ったカステラだって、ただの重曹くさいパンケーキに違いない。 いつか食べてみたいと思っていたけれど

いのちのぎりぎりまでを 焼き尽くすように生きたあなたは 最後の一滴を地上に落とすように 一つの経を口にして 細胞が浸食されていただろうところで微かに、それだけをぎりぎりに残して 絞り出すように、一番の旨味を一滴、この世に遺して逝った あなたの落とした一滴は雨となり川となり海となり あなたが最後に口にした経はたがためのものか、永遠にこの世を回り続ける