虚空の先に・・
遠い昔にも見ただろう景色がゆっくりと目に映る。
きっと見たはずの花や空はどんなだったのか。
今。花弁の薄さを透かし見、蒸せかえるように立ち並んだ青い芽の中、今私は一人立つ。
美しい。
どこを見ても目映いばかり。
美しいと感じてしまった心に気づいてしまって、否定できない空の明るさやひらけた視界に気づいてしまって。
せめて目に写る景色が灰色に見えたなら。
立ち並ぶ花たちがただそこにある、というだけならば。
美しさが染み入ることがこんなにも愛しく、こんなにも苦しく。
どんな事実よりも私を置かれた現実へと導く。
どんな現実より私を事実へと導く。
そんなこと。そんなこと。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?