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サンサーラ


渇いた心に言葉は宿らない。
宿れなかった言葉たちは、肉体の表層をつたって土へと還る。
言葉にならなかった言葉は心に留まることもせず、口に昇ることも許されず。

何事も。
何も。
起こらなかったかのように静かに、ただ静かに。
冷たく、鈍く、私の上っ面を撫でてく。

無意識のうちに湧いた言葉は人のうちに在って、表層を伝い落ちるその瞬間までなお力を欲しがる。

ただ僅かばかりの指先のぬくみ。
ただ一息ばかりのすれ違いですら。

言葉はその刹那をこの機かぎりと宿るため、爪を立てる。

言葉はするりと堕ち、突き刺さった爪痕だけが身体の奥深いどこかしらに痛みだけ、その存在を知らせる。

言葉が言葉となる時。
人は生かされてることを知らない。



言葉 シオン 

絵 ゆき http://sarajya.wix.com/sarajya

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