複雑怪奇なスイスのパン事情
Grüezi!(スイスドイツ語でこんにちは)
わたしは夫のスイスのチューリッヒ駐在についてきた駐妻です。
スイスで生活するなら日々の炭水化物やっぱりパンを食べなきゃ😋
私も初めはそう夢見る女でした。
美味しいパン食べ過ぎて太っちゃったらどうしようって。
全然そんなことはなかった。
スイス生活が始まってわくわくしてスイスのパン屋に行った。
??????????
全部ドイツ語だし、種類も多い。
似たようなパンばかりで、なんのパンかわからないぞ???
クロワッサンとブリオッシュしかわからなかった。値段もスイスだから高くて(写真のような石ころみたいなパンが500円からスタート)、とりあえず買ってみるという作戦もやりたくなかった。
パンはこちらの主食なのに日本で買うパンよりも高いのはなんでだろう。
あまりにもよく分からないので、何も買わずに出直すことにした。
家で調べてみた。
チューリッヒの食文化はドイツに強い影響を受けている。そのドイツは世界で1番パンの種類が多い、パン大国。
チューリッヒもパンの種類が多いことは間違いないなさそうだ…。
そのあとスイスでパンをいろいろと買って試して、調べて、ある程度スイスパンを攻略できた気がする。今回はスイスのパンについて語らせてください。
スイスのパンのお味は?
スイスで買うパン、なんか想像してたかんじと違った。
まずどれも異様に硬い。
正直歯が弱い人や50代の人とかには食べさせられない。
食べると余計疲れるというか。
よっぽどパンに合うおかずを用意してないと食べる気にならない。
食べるのに気合いがいるし、毎日食べるのは苦行に近い。だったらもういらないと思い、我が家は主食がない日もけっこうある(お米は高価すぎて不可)
次にパサパサしてる
フランスのバゲットみたいに外はカリッと中はモチモチならまだ許せる。
バターを使ったパンの代表選手、zopfっていうスイス伝統の編み込みパンがあるんだけど、これもパサパサ…
クロワッサンも他の国で買うものよりパサパサ…
なんか全体的に思ってたのと違う。
どのパンも購入した次の日から、みるみるうちに硬く、モサモサが増してくる。
パサパサ、モサモサがスイス人のお好みなのかしら?
買うこと自体がハードモード
私が住むチューリッヒはドイツ語圏なので、
スーパーやパン屋の表示はドイツ語
しかもパンに限ってはGoogle翻訳でうまく翻訳できないことが多い。
パンの専門用語、7単語くらいのドイツ語と見かけで私はある程度パンの味を想定できるようになりました。
原料によって名付けられるパン
スイスのパンはライ麦や小麦、原料の配合によってパンに名前がつくときがある。
ライ麦の配合が高い方(ドイツ語でdunkelという)がパンが黒い色に近づき、値段も安くなり、栄養価も高い。味はすっぱく硬くなる。
いわゆるドイツらしいパン。
小麦粉の配合が高い方(ドイツ語でhellやweissと表す)はパンが白い色に近づき、値段は高く、栄養価は低い。味は甘く、柔らかく、美味しい。
日本人は絶対こっちが好き。
例えば、Halbweissbrotは小麦とライ麦の割合が半々のパンになる。ドイツ語では「halb」がハーフ、「weiss」が小麦(らしい色の白)、「brot」がパンを意味する。
ドイツ人やスイス人は健康のために小麦100%のパンではなく、ライ麦などを使った他のパンを平日は食べて、休日にバターを使ったパンをご褒美的な感じで食べるらしい。
ストイックなスイス人。日本人で言うと玄米が平日で、休日にご褒美の白米なのかしら。
このあたりのドイツ語は覚えていないと、どんなパンか全然わからないので覚えた。
ライ麦の配合が多いと↑の写真のように暗い色になっていき、真っ黒なパンもあります
バターが入ってるものは、パンの名前の頭にバターがついているものもある。
私を悩ませるスイスのパン
私を悩ませるパンのシリーズの一番手は
「土地の名前が由来のパンシリーズ」
別名、初見殺しシリーズ
これ系は名前からはどんなパンなのか推測ができない。困った。
Googleで調べるとAlpenbrotは「山岳地帯で食べられるように保存が効くライ麦パン」を指すようですが、購入元の原料を確認すると小麦粉も入っていた。うーん?正解ってなんだ。
とりあえず「ライ麦が入った硬いパン」であることは間違いない。
ちなみに、Googleで調べても全然ヒットしないときもある。
配合の詳細な比率は販売者ホームページまで辿っても不明。袋にdunkelと印字があるので、ライ麦のほうが多いのかしら。
これもよくわからない。
日本でいうと「四国の米」とか「北陸の米」みたいに地名の名前がついたお米?
「北陸の米」はなんとなくもちもちしてそう。笑
このティチーノ州のパンは調べても、味については決まったものはなく、ものによって配合が違うらしい。
このパキッと折って分割しやすそうな形だけは決まっていて、この形のものは全てティチーノ州のパンと呼ぶんだと思う。
この「木こりのパン」とか「田舎のパン」系はいわゆるドイツのパンで、カンパーニュとも呼ばれるパン。ドイツの食事パン人気No. 1です。
なのでスイスでも人気No.1です。
日本は柔らかい食パンが食卓のメインを張るけど、こちらでは堅いカンパーニュがその座についている。
カンパーニュは塩と小麦粉、水、イースト菌だけで作ることができるシンプルなパンの作り方によるパンで、硬くて素朴な味わいです。
外はバリカタ(マジで顎と歯に注意)、
中はモチモチ。
硬い皮の中にすこーしだけモチモチの中身が入っている。パンの説明しているのに野菜の説明みたいになった。
「ブルリ」
今度はパン自体が固有名詞のパンシリーズの登場です。
日本でいうと「シベリア」。名前を直訳してもパンとして推測できない。これまた厄介なやつ。
「ブルリ」はスイス東部で食べられている人気のパンでザンクドガレンウインナー(ザンクドガレンは地名)と一緒に食べられるそう。
確かにチューリッヒの人気のソーセージのお店ではこのパンが無料でついてくる。スイスはスーパーでも美味しいソーセージが売ってるから、それを家で焼けば全く同じ味になる不思議。
このパンは実は好きな方だ。
噛みごたえがあって、意外と美味しい。炭で焼いた風味がある。
ただこのパンは本当に石のように硬い。投げられて当たると絶対痛い。嫌なやつに投げれば、武器になる。
硬いから噛むほど味が出る気がする。そう思いたいだけかも。
スイス人はきっとみんな歯が丈夫だと毎回思う。
「ゼンメル」
これもパン自体が固有名詞になっているけど、
「小さいパン」が語源らしい。
スイスのパンは大抵そうだけど、これも正直特に食べたい見かけをしていない。
調べても特に特徴や原料の指定は出てこない。スイスの食卓において一般的な食事パンだと思う。
名前だけでどんなパンか分かるパン
中には名前だけでどんなパンかわかるものもあります。もちろんドイツ語でだけど、それでも難易度は下がる
これは石窯焼きのツイストしたさつまいものパン。susskartoffelはドイツ語でさつまいもなので、さつまいもが入ったパンであることがわかる。ちなみに400gで560円。
こちらはじゃがいもの小麦パン
じゃがいもはドイツ語でKartoffel。それにHellとついてるので、じゃがいもの小麦パンだと分かる。
これはじゃがいもの塊が練り込まれてるわけではないが、材料にじゃがいもを使っており、風味は普通のパンで、中身はモチモチしていた。
チューリッヒで人気のパン屋に行ってみたけど
勉強したので今度は実践。
ということでチューリッヒで人気のパン屋John Bakerに行ってみた。チューリッヒに3店舗あっていつも混雑してる。朝10時にはクロワッサン売り切れ。
美味しいパンと果たして出会えるのでしょうか?
ちなみにここはコーヒーが美味しくて、カフェとしても人気がある
うん。食べたいパンはなかったけどちゃんと買ってみました。クロワッサン、パンオショコラ、田舎パンを買った。
スーパーよりも硬さが増していた
oh…そう来たか…。
おそらくスイス人にとって硬いパン屋が美味しいパン屋なんだと思う。もうちょっと長くスイスにいたら、美味しさを舌で感じ取れるのかも。
小麦やライ麦の味や風味を感じるような硬くてみちっとしてるパンがスイスでは人気なんだねぇ。
「フランスの美味しいパン」とは「私が思う美味しいパン」と一致するのに、おんなじ陸続きのヨーロッパなのにパンはかなり感覚が違うだねえ。
人生日々学びです。
というわけで、スイスでは未だ私好みのパンは見つけられていません。誰か教えてください。
パン1個なんでもかんでも500円するから、この記事書くのにすんごいお金かかったのは秘密ダヨ🤫
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