企業広報バイブル #37 企業の有名税って
🎵日米のリーディングカンパニーで企業広報を統括して気付けば28年。IT系、インターネット系、不動産、エンターテインメント企業、広告代理店、流通業界トップ企業広報アドバイザーまで色々。かなりの私見も交えて色々書いてみようと思い立ちました、、、🎵
毎回フォトギャラリーのイラストを選ぶのが楽しい。いつもその時の感性で、内容とは全く一致しておりません(笑)
今日は大きな会社が苦しむ有名税のお話。ベンチャーなど中小の会社はこの有名税の陰に隠れて恩恵に預かっているのかもしれないが、みなさん、成長を目指している以上、明日は我が身である。
記者の方々が記事を書くとき、常に、当然、読み手の読者に分かりやすい記事をと心がける。事故や事件の場合は特に気を使うであろう。事情がわからない人にも伝わるように気を配る。
分かりやすく例えると(半分実話も交えつつ)、
ある大手企業からキャラクターのライセンス(使用権)を受けて(買ってか)商品開発をしている会社さんがビッグサイトなどでの展示会でその商品を沢山展示したとする。来季の商品の宣伝である。大手企業はキャラクターなど使用権を売って商品開発の許可を出してはいるが、商品開発や展示会での出展、ブースの運営は全く関わっていない(通常はそういうもの)。そして仮に、そこのブースで事故が起きたとする。展示用の機材が倒れて来客の人に怪我人が出たとか(軽症ではあっても)、、、、悪夢の事態である。
さて、翌朝の各新聞のニュースのタイトルは?
「XX社の商品を展示中、機材が転倒、怪我人多数!!!」と大元の大会社の社名が踊る。事故を起こした商品開発、展示をしている会社の社名(あまり知られていない中小の会社)ではない。よーく記事を読むと、XX社からライセンスを受けて商品を開発しているXXX社の展示ブース、とあるので記事は間違いではない。が、ニュース1発、タイトルを読むと、、、(広報、涙)、、、である、、、
(そのタイトルだけを読んだ人は、「へえーーー、あんなに大きな会社がやらかしたのかあ」になる)
相手会社の広報は、ラッキーと思うだろうか、申し訳ないと思うだろうか、、後者であってほしい。
関わった多くの会社でいろいろな類似の経験したが、どれも、私たちは関係ないし、、、私たちのミスではない。が、ニュースとしてのインパクトを考えると、得てしてより知名度が高い大会社の社名がタイトルに入ってしまうのである。起こるたびに社長やマネージメントの面々は不愉快な思いをした。時として、私を社長室に呼び、何でウチの社名がこんなに大きく出るんだ!!と声を荒げたこともあった。「私もとても悲しいですが、有名税、、です、」と務めて冷静に答えていた。
また、数百社が被害者として関わった損保会社の不正事件。ある雑誌の電車広告には、当時私が関わっていた会社の社名がデカデカと出て、「関わる会社はXX社他」、と社名が大きく赤字で踊った(1社だけ出たかーーーー!!)。その時も経営層がキレ気味に、ウチは被害者なのに、なんか、印象悪い記事のタイトルにバーンと入って不愉快だ、と大声で広報室に入ってきた(お気持ちは重々、、、)。
一般の人に馴染みがないB to B企業の名前を入れても読者は事の大きさにピンとこないし、知らない社名が入ってもそのニュースに親近感が湧かない。B to Cで手広くビジネスを展開しているウチの社名を使い事件を伝える事は冷静で正しい判断だったのだ。だいたい、ウチも巻き込まれたことは事実だし、1社選ばれてしまったことはハッピーではないけど、記事が間違っている訳ではない。怒る面々を、「有名税」だと思って諦めてくださいませ。。。メディアにはちょっと苦言は呈しておきますので、、と宥めた。
時として、広報は社長の悔しさや不愉快な感情に十分寄り添いながら、でも、仕方ない場合もあることを説明していかねばならない、、大きくなれば、知名度が上がれば、払わねばならぬ「有名税」があるのだと。
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