どこかのだれかのつづきのはなし
ゲーム
人生のサイコロを振る五が出たら一回休みサイコロを蹴る
接続に意味を持たせて意味があるように見せかけ生きているなら
ニセモノが目の前にいる本物の名前も知らず叫ぶ「偽物!」
ゲーム機の十字ボタンが壊れてるどこを押しても地下へと向かう
人生のゲームオーバーの基準もチュートリアルで教えて欲しい
手も足も出ないくらいの強敵もゲームならばまた立ち向かえる
切り札を後生大事に隠し持つ実は違うと知らずにいたい
雨
香水が流れて落ちてしみ込んだ地面に朝を告げる花咲く
水玉の模様が好きでかわいくて買ったけれども履かずに捨てる
何もかも溶かしてしまえ酸性雨私の居場所も何もかもさえ
ぬばたまの夜の雨から味がする赤い匂いが水溜まりを這う
剥き出しの祈りが道に落ちている誰も拾わず水たまりの中
太陽を背にして立った虹が出る条件ひとつ自分で準備
太陽に向かう限りは虹を見ることはないけど進むと決めた
城跡は公園になる雨の中ブランコを漕ぐ答えは出ない
雨音がぱたぽたバタと落ちてくるとっちらかった頭の中に
白線
引き立ての白線を踏む足音は途中で途切れあそこで止まる
止まるなといきなりそんな言われても止まれといつも言われてたのに
「れ」の文字の前には何があったのか?掠れてるけどきっと「走れ」だ
信号の色を確認せよ黒のまま許可も禁止も得ないまま
もうすぐで差し掛かるから十字路は四択なんて騙されないで
白線のない道を行くすれ違いざまに手を振る狐と狸
この道をまっすぐ行くと定食屋右に曲がると自殺の名所
美しい景色を見たい何ひとつ定義を決めず歩き始めた
見え隠れ赤黄色黒秋桜の花壇にアゲハチョウが居座る
どこかのだれかの
つづきのはなし
百年も残る名作を書きたい嘘君に届けばそれでいい
「めでたし」で生活は終わらないからどこかだれかの続きの話
隕石は落ちずに済んだ明日死ぬと思っていたから好きと言えたの
生活と物語との境界は曖昧模糊でぬるぬるしてた
偶然と奇跡の上に期待置くまるでジェンガのハッピーエンド
「やり直せ!」泣いてわめいた王様に逆再生のミルククラウン
ばらばらに並べた絵皿物語始まりそうな予感だけがある
さくらんぼ夕焼けみたい缶詰に入った茎も種もないやつ
今ここの私に届け最強のバッドエンドの回避アイテム
あとがき
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
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