学習院山岳部の「赤城時代」（創部前史）（１９１０年前後）

学習院大学山岳部　昭和42年卒　石川正弘

　学習院旅行部創部前夜、服部他之助教授（※１）は学習院高等科の学生に登山熱を鼓舞したリーダーの１人であった。 先生は沢山の学生を赤城に連れ、赤城山に登った。

　先生は赤城神社の社務所を借り、学生は猪谷旅館に滞在した。
　白樺派の志賀直哉・里見弴等は猪谷六合雄（旅館の若主人）が作ってくれた５坪ほどの山小屋に住んでいた。

　この山小屋には田村寛貞、高橋八来、犬養健、木下検二、木下義兼、黒木三次、柳宗悦、木戸幸一、和田小六、織田信恒、九里四郎、長與善郎等の先輩方が訪れた。

　松方三郎は中等科の学生だった。 松方三郎は山桜１号の随想で、学習院山岳部史を書くときにはアルプス以前に「赤城時代」があったことを忘れてはならないと記されている。

＜参考＞
猪谷六合雄
「赤城の四季」昭和19年刊行「山と渓谷社」

志賀直哉
「赤城山にて」

里見弴
「赤城」

長與善郎
「美しい思ひ出」

（※１）服部他之助（英語）
学習院教授

（※２）猪谷六合雄（いがや くにお）（1890-1986）
日本の近代スキーの草分け的存在。 長男の猪谷千春（いがや ちはる）は、アルペンスキー選手、実業家。 日本人初の冬季オリンピックメダリスト。コルチナ・ダンペッツォオリンピック（1956年）（回転銀メダル）

「小島敏武先輩に捧げる「学習院登山史Ⅰ（1887-1953）」」から

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