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日光光徳小屋で祝った奥日光光徳のお正月④
学習院大学山岳部 昭和30年卒 石川貞昭
夕暮れ時、大真名子山のわきに出た月は、かなり上に移動して、雪の世界を明るく照らし出している。 この月明かりでくっきりと浮かび上がった男体山のシルエットは壮大である。
山小屋には風呂がないので、夜道を完全装備して光徳牧場の温泉まで入浴に行く。 懐中電灯が不要な位に、月の照り映えが素晴らしい。 ミズナラの巨木を揺さぶる風の音だけが、太古のような夜のしじまを破る。
東京では見られないほど無数の星が、夜空いっぱいに展開しているのだ。 落葉した裸の梢が一面に空に向かって伸びる林間を行くと、星がこずえに花盛りといった、素晴らしいシーンに接することができる。
凍結した雪の上を滑らないよう気を配りながら、牧場へと20分山を下っていく。 「こんばんは」と牧場の顔見知りの従業員に迎えられて、湯元温泉から引き湯している温泉に入れてもらう。 白い湯の華が舞い、硫黄の香りがプンと鼻を突く岩のある湯船の中で、子供たち3人はもぐったり、遊んだり大はしゃぎ。
ちょっと怖い夜道のスリルと、いまどき味わいにくいお風呂屋さんに行く楽しみをミックスした温泉行きは、この雪山での欠かせないエポックである。 零下13度を示す寒暖計を見て、山小屋に戻る帰り道、手ぬぐいはバリバリの棒になっていた。
(1976年1月の山行)
<メモ>
光徳は奥日光戦場ヶ原の北端にあり、山々に囲まれた自然環境は素晴らしい。 白樺やコメツガの林、鏡のような光徳沼、今も20頭の乳牛を放牧する光徳牧場・・・昔のままの自然が残された高原である。
ここには湯元温泉が引き湯され、光徳牧場や白樺荘では、山の湯も楽しめる。 光徳小屋を基地として戦場ヶ原のハイキングや山王峠を越え、涸沼から切込刈込湖を訪ねて湯元温泉に出るコースもある(所要3時間半、一般向き)。 夏と秋が最盛期だが雪の少ない冬は訪れる人もいない静かな冬の山を味わえる穴場である。
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