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日光光徳小屋で祝った奥日光光徳のお正月②
学習院大学山岳部 昭和30年卒 石川貞昭
海抜1500メートルの戦場ヶ原は、日中でも零下5度を下回る。 もちろん他に誰1人としてこの野原を歩いている人はいない。
三本松から光徳へ真北に進む細い道は、今ではスノーモービルのトレールになっている。 ラッセルなしにキャタピラの踏み締めた乾燥粉雪の上をキシキシと足を鳴らして『雪の進軍』である。 目的地の山小屋は一切自炊生活なので、数日分の食料などで全員リュック満杯の荷があり、歩いてるうちに汗ばんでくる。 男体山、大真名子山、太郎山、山王帽子山といった山々の、淡雪をまとった起伏はいつ見ても見飽きない。
光徳牧場に立ち寄って、牛乳を飲む。 瓶の口に脂肪分のクリームがついた濃厚さは、子供たちでも違いのわかるおいしさのようだ。
光徳小屋へは牧場から約1キロの緩い上り坂だ。 新雪の中に今朝方年賀状配達の郵便局員が通った足跡だけが鮮やかに続いている。
3歳の三男坊は、足元が不完全なゴム長靴なので、ビニール袋で靴下の上からすっぽり包んで雪支度を施して、雪の中を歩いていく。 こうすれば雪が入っても大丈夫。
白樺林の奥にたたずむ山小屋では、20年以上ここに住み着いている小屋番のおじさんに会うのが、子供たちの楽しみで、みんなで「おめでとう」の挨拶を交わし、ストーブのわきで熱い紅茶をご馳走になる。
到着するやいなや、チビ3人は小屋わきの小さな貸切ゲレンデで雪まみれになって、スノーボートやスキーではしゃぎまわる。 一家全員のスキーは小屋番のおじさんのところに預けたままで、年に1度の虫干しを兼ねて日の目を浴びるわけだ。
ゲレンデは秋に小屋番や学習院大学山岳部の現役部員がブッシュを刈ってくれるので、数10センチの雪でスキーができるようになっている。 この小屋に宿泊する人の貸切であり、たまに光徳の一般宿泊者が利用に来る位で、人の全くいない別天地だ。 子供が放牧しておけるありがたいゲレンデである。
長男はスコップを持って、中腹に小さなジャンプ台を作り、ここでスノーボートを飛ばす遊びが最高だと言う。 三男坊は、雪を握り締めていると氷になってしまう『大発見』をして、冷たくなった手のひらに、その氷の魂を持っては報告に来る。
(1976年1月の山行)
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