レトロな街 熱海で芸妓さん撮影
この世界には「観光地」と呼ばれる地がごまんとあって。でも、だから、あまのじゃくなわたしはつい「観光地なんていつでも行けるでしょうに」と定番どころを外してしまう。
それでも「普段、撮影は禁止の芸妓さんの舞を撮りに行きませんか?」とのお誘いにはついウキウキと、いつもよりも焦点距離の長いレンズをレンタルして、着物を身に纏ってしまった。だって、もうこれは「定番」じゃなさそうな匂いしかしないんだもの、と自分に言い訳しながら、雨上がりの熱海へ。
熱海芸妓見番
昭和レトロな趣を残す熱海駅前の商店街を抜け、温泉のモクモクとした湯気に包まれた景色を通り抜けると、踊りや三味線などの日本の伝統芸能で宴を盛り上げるプロ「芸妓」さんたちが日々お稽古を重ねる熱海芸妓見番が見えてきた。
つい25年ほど前、というとわたしがちょうど幼稚園に入園したそれくらいの頃までは、贔屓のお宿や年に2日だけの「熱海を取り」でしか公開されてこなかったという熱海芸妓の舞たち。大切に伝承されてきたその舞たちを、何年もの時を経てこうしてわたしたちが楽しめるというのは、どんなにすごいことなんだろう。
「茶道」という師匠から弟子へと口伝される日本の伝統文化に触れてきたことや、小さい頃からバレエやマーチングのような誰かと息を合わせて一つの舞台を作り上げていく経験をしてきたからだろうか。とかく、伝統を体現していく人たちの表情が、たまらなく好きなんだと思う。
一人ひとりの芸妓さんに合わせて仕立てられているというお着物も、どれも美しくて。思わずため息が溢れてしまった。
起雲閣
今話題の大河ドラマで有名な徳川家康や、我らが東北の生んだ悲劇の文豪太宰治も愛したという湯治場としての役割も果たしたという伊豆国は熱海。
大正時代に別荘として建てられたのち旅館となったというこの起雲閣は、日本の伝統的な建築様式の残る本館と離れ、外国の様式が融合された独特な洋館に、緑豊かな庭園など、優雅で気品に溢れる建物の美が楽しめるスポット。
受付で身体障害者手帳を提示すると、「お耳ですか?」と確認した受付の方が、手話も交えて入館料等を案内してくれるなんていう嬉しいサービスも。どうやら、手話を勉強中とのことで、ついほっこり。館内案内のアナウンス原稿もいただけるので、お耳の仲間の方々、ぜひお願いしてみてくださいませ。
館内は、『となりのトトロ』のサツキとメイの家のような和式のお部屋から『思い出のマーニー』の湖の畔の邸宅のような洋館まで、まるでジブリの世界に入り込んだようなお部屋の数々。
熱海芸妓見番で置き屋のお姉様に帯の形を直していただいた、お気に入りのお着物でこの歴史ある建物を歩けたこと、本当に幸せだったなぁ。歴史ある建物や伝統芸能には、装いから敬意を示せるオトナになりたいもの。
熱海プリンカフェ2nd
たくさん歩き回って疲れたので、帰る前に熱海プリンカフェ2ndへ寄って、カフェタイム。
フォトスポットもあって、美味しいプリンやコーヒー牛乳をいただいてきました。お土産もゲットして、今回の小旅行はおしまい。
熱海のレトロな街並みは、「定番」といわれるのも頷けるアクセスの良さとコンパクトさを兼ねそろえたどこか懐かしい、でも、歴史と伝統を守り続ける素敵な街でした。
今度は、ゆっくり湯治に行きたいなぁ。
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