一泊二日 食べてばかりの一関旅
岩手県最南端の地である一関市は、江戸時代伊達藩から伝わった餅文化が受け継がれている自然豊かな街です。祖母が生前この地での樹木葬を望んだので、年に数回お墓参りに訪れている一関市。今回のGWも足を伸ばしたので、その記録を。
仙台駅からは、在来線で1時間半
いつもは新幹線でぴゅんと向かうのですが、今回は時間があったので在来線で向かいました。大学時代、この路線を使って実習に通っていたことがあったので、懐かしい車窓。
景色を眺めたりこの日のnoteを書いたりしていたら、あっという間に一関市に着いていました。お墓参りは翌日なので、この日は一関に住む大学時代の友人とデートの予定。電車がつく時間に合わせて駅まで迎えにきてもらう予定が、お仕事が押したそうで立ち食いそばの美味しそうな香りの誘惑と闘いながら彼女の到着を待ちました。ちなみに、一関市はノが付かないけど、一ノ関駅は、ノが付くらしい。ややこしい。
ミートレストラン格之進
迎えにきてくれた友人の車の助手席に座るや否や「夜ご飯、何食べたい?」と聞かれたので、「せっかくの旅行だから、一関っぽいものを食べたい!」と大雑把なリクエストを。そんなわたしを「相変わらずだなぁ」と笑いながら連れて行ってくれたお店は、ミートレストラン格之進。
このお店のこだわりは、一関または岩手の食材を主に使用すること。「一関といえば餅」以外の思考がなかったので、ハンバーグはとても意外でした。でも確かに、小岩井農場とか岩泉ヨーグルトとか、おいしい乳製品はどこも岩手のものが多いよなぁ……とわくわく。
わたしはハンバーグを、友人はステーキを注文して、シェアしながら食べました。
肉厚のハンバーグも、牛脂のソースをかけて食べるステーキも、とにかくジューシーで美味しかったです。マタタベタイ。
音の世界と音のない世界の狭間で
ご飯を食べてお腹いっぱいになったので、近くのスーパーでお酒とおつまみを購入してそのまま友人のお家に泊めてもらいました。彼女は大学からできた友人で、トーキョーにもよく遊びにきてくれています。
わたしの聞こえのことも、もちろんよくわかっていて手話も使ってコミュニケーションをとってくれる友人のひとり。わたしのダメなところはダメだとはっきり言ってくれるし、逆に良いところは好きだよと惜しみなく言ってくれる貴重な存在です。
同い年で、仕事に対する考え方も似ていて、ふざけあってばかりだけれども自分の考えをしっかり持っている友人とのお泊まりは、いつも日付が超えるまでダラダラとおしゃべりを楽しみます。
そういえば、手話をしてくれるのはもちろんなんだけれども、わたしに会うといつも聴き取りやすい環境を用意してくれます。車に乗り込めばオーディオをオフにしてくれるし、お家でも一緒に見たいテレビ番組がない限りテレビもつけない。だから、この晩も
「今日はさんまりちゃんがうちに来たからとっても静かだよ。この世界って、あってもなくてもよい音を消すだけでこんなに静かになるんだなぁって、あなたと過ごすたびに思うよ。なんか新鮮。」
と教えてくれました。でも知ってるよ。わたしが補聴器を外したあとに、スマホで動画を見てクスクスと笑っていたことを……という話を翌朝したら
「だって、聞こえてないでしょ?遠慮しないで好きな音量で聴けてラッキーと思ったよ!」
と大笑いしていました。そういうところが、好きなんです。彼女のよいところ。
厳美渓のかっこう団子
翌朝はちょっと早起きして、厳美渓へ。
厳美渓は、国の名勝及び天然記念物に指定されている渓谷で一関の(唯一と言っていいくらいの)観光名所。悠久の時を経て削り、磨かれてきた岩肌や、透明度が高くエメラルドグリーンのような磐井川の水流が美しいこの場所が、今日のモーニングの場所だと彼女は言うのです。
いったい何を食べるんだろうとついて行くと、実はこの渓谷、観光客がこの渓谷を眺める岩場の反対側にお団子屋さんがありまして。そのお団子屋さんから、団子が飛んでくるとか。
本当に、お団子が飛んできました。びっくり。
左から、あんこ・ごま・みたらしの定番三種のお団子。どれもモチモチで、とても美味しかったです。タノシカッタ。
と、がっつり朝活を楽しんでいると、祖父と母が一ノ関駅に到着したとの知らせが入ったので、友人に駅まで送ってもらって家族と合流しました。
緑豊かな樹木葬
祖母の眠る樹木葬は、山の中にあります。生前、このお寺の住職さんと親しかったという祖母が、自分で決めてきたお墓です。亡くなる前にも何度か祖母から話をされていたので、彼女の遺志通りこの山に埋葬しました。
冬の時期は雪が積もって真っ白なのでお正月はパスだけれども、GWも、お盆も、秋のお彼岸も、いつも気持ち良い気候で。お墓参りに来るたびに、心がすっきりと晴れるような気持ちになります。
気軽には来られないけれども、みんなで一緒じゃないと来られないような場所だからこそ、このお墓参りに合わせてみんなが各地から帰省できる。家族みんないつも揃って元気でいることを喜ぶ祖母らしい、眠る場所の選び方だなぁと来るたびに感心してしまいます。
道の駅 厳美渓
お墓参りの帰りは、いつもここでお昼を食べます。朝活をした厳美渓の近くにある道の駅。そして、わたしはここのレストランぺったんくんで、毎回この「ひとくち餅膳」を食べるのです。
朝から餅しか食べてないけど、良いんです。好きなので。あと、祖母の大好物だったんです。お餅もお団子も。だから、お墓参りの日はご供養の気持ちも込めてたらふくお餅を食べます。
また来るね、一関
そんなわけで、大好きなお友達に会って、お墓参りも済ませて、お腹もいっぱいになったところで、仙台に戻ります。帰りはもちろん新幹線でぴゅんと。また来るね。